Archive for 2012年04月

老紳士さんと会った

夕方、ある方から「いま、銀座なんです」と電話があった。

ここ数日、仕事がバタバタなのだけれどちょうど1時間ほど空けることができ、その方に会った。

老紳士のその方は、奥様が腹膜偽粘液腫の患者さんだ。奥様は病気がわかる数年前まで、高齢にもかかわらずバリバリお仕事を続けていたという。その忙しく飛び回っていた奥様は手術してずいぶん経つが、今、自宅療養をされている。

老紳士さんはいくつかのことを心配されていた。奥様が体調が悪いのか外出をしたがらないこと。日頃外出しないから、明後日の池田病院の受診に体力が持つかどうか(遠いから)。受診して診断結果が良くなかったら。もし、彼女がもっと悪い状況になってしまったら自分はどうやって生きていったら良いのか。。。

献身的な老紳士さんは、いろいろ考えると眠れなくなると仰った。自宅にこもる奥様の相手を一日中していて、どこか息抜きも必要な感じだった。

「今日は必要なものがあってここまで来たのですけれど、見つかりませんでした。久しぶりにここまで来たんです。以前はしょっちゅう来てたんですけれどねえ。」

もしかしたら、探し物はあってもなくてもどっちでも良かったのかもしれない。老紳士さんにとって、街まで出てきたことと誰かに心配事をしたことが、ほんの少し心をほぐすことにつながったのではないだろうか。

私に答えを求めているわけではないだろう。だとしても私は「きっと大丈夫ですよ」などと、ありきたりなことしか言えなかった。経過観察の診断については、良性か悪性か中間なのかで予後が違うということから、そのあたりをまず伺ってみると「聞いていないんですよ、とても恐ろしくて」ということだった。

何でも全部知っておきたい私には意外だけれど、手術で腫瘍は全部は取りきれなかったとのことで、聞きたくない気持ちは察する。

そもそも米村先生の手術を受けることになったのは、まだ腹膜偽粘液腫とわからず大学病院で手術して、数ヶ月と経たないうちにまた手術が必要と言われてパニックになってしまったところ、知り合いがネットで米村先生を見つけてくれて受診し、手術してもらったとのこと。高齢の方にとってはこの病気に限ったことでなく、身近にネットを検索してくれる人がいるかいないかで、その後たどる道が違う気がする。

支援の会の親睦会などに出て情報交換するのもいいのではと話すと、元気な患者さんたちに会って、それに比べて自分のところはと思うと辛い、それに、本人自身が外に出ず、自分ばかり頑張って患者の皆さんに会っても、、、ということだった。

でも、私には会おうと思ってくださったのだ。 私は「何か良い情報がありましたら、必ずお知らせしますからね!」と言った。

「今度、家に遊びに来てください。」

「はい、ぜひ伺います。」

1時間があっと言う間に過ぎた。明後日、「だいじょーぶ」な結果でありますように。

  • HIME

    2012年04月27日(金)13:18

    返信

    私も存じ上げてる老紳士の方ですね。
    もしぽんぽこさんの立場が私だったら…….。辛いですね。
    何とか手を差しのべてあげたい気持ちは沢山あるのですが。

    • pom

      2012年04月27日(金)20:55

      返信

      そうそう、HIMEさんも知っている方です。
      時々、お電話とかしてみようかなと思ってます。
      奥様はとても品が良い美しい方で、なのにちゃきちゃきな感じもあるんだよ。
      もっとお知り合いになれたら、ご夫婦も私たちもお互いが楽しくなれると思うんだよね〜。
      そのうち、会えるチャンスもあると思うから、そのときは
      HIMEさんも一緒によろしくね!

      • Hime

        2012年04月28日(土)00:23

        返信

        かしこまり!です。

        彼女がもっと悪い状況になってしまったら自分はどうやって生きていったら良いのか。。。

        私も悪化したらダンナもこのように思うのかな?と思うと何としても元気で居続けなければと思う私でした。
        このご夫婦、応援したいですね。いつでも呼び出してください。

        • pom

          2012年05月02日(水)08:38

          返信

          遅レスすみませーん。
          「自分はどうやって……」は昨年の今頃、私もダンナから言われたんだけど、
          「私を不憫に思うんじゃなくて、結局のところ自分の心配なわけ?」と、ムカついた心の狭いワタクシでした。w

  • もこもこ

    2012年04月28日(土)00:23

    返信

    ぽんぽこさんが出没されるのは銀座界隈ですか~?!

    ぽんぽこさんとhimeさんがタックを組めば最強ですね

    • pom

      2012年05月02日(水)08:43

      返信

      返信遅れてすみまっせーん。
      ちょっとワイハに弾丸ツアーに行ってたもんで。(ウソです)
      本当は、銀座の会社と自宅の往復でした。。。
      出没というより、半分棲息している感じです。な、ワリにはあんまりお店を知りません。コンビニとかお弁当屋とか、郵便局の場所とか、そーいったところはカンペキですが。。。

  • HIME

    4月 27th, 2012

    返信

    私も存じ上げてる老紳士の方ですね。
    もしぽんぽこさんの立場が私だったら…….。辛いですね。
    何とか手を差しのべてあげたい気持ちは沢山あるのですが。

    • pom

      4月 27th, 2012

      返信

      そうそう、HIMEさんも知っている方です。
      時々、お電話とかしてみようかなと思ってます。
      奥様はとても品が良い美しい方で、なのにちゃきちゃきな感じもあるんだよ。
      もっとお知り合いになれたら、ご夫婦も私たちもお互いが楽しくなれると思うんだよね〜。
      そのうち、会えるチャンスもあると思うから、そのときは
      HIMEさんも一緒によろしくね!

      • Hime

        4月 28th, 2012

        返信

        かしこまり!です。

        彼女がもっと悪い状況になってしまったら自分はどうやって生きていったら良いのか。。。

        私も悪化したらダンナもこのように思うのかな?と思うと何としても元気で居続けなければと思う私でした。
        このご夫婦、応援したいですね。いつでも呼び出してください。

        • pom

          5月 2nd, 2012

          返信

          遅レスすみませーん。
          「自分はどうやって……」は昨年の今頃、私もダンナから言われたんだけど、
          「私を不憫に思うんじゃなくて、結局のところ自分の心配なわけ?」と、ムカついた心の狭いワタクシでした。w

  • もこもこ

    4月 28th, 2012

    返信

    ぽんぽこさんが出没されるのは銀座界隈ですか~?!

    ぽんぽこさんとhimeさんがタックを組めば最強ですね

    • pom

      5月 2nd, 2012

      返信

      返信遅れてすみまっせーん。
      ちょっとワイハに弾丸ツアーに行ってたもんで。(ウソです)
      本当は、銀座の会社と自宅の往復でした。。。
      出没というより、半分棲息している感じです。な、ワリにはあんまりお店を知りません。コンビニとかお弁当屋とか、郵便局の場所とか、そーいったところはカンペキですが。。。

「もこもこさんの偽粘液腫、見せてちょーだい」

ハイ、早速来ました! もこもこさん、ご協力ありがとうございます!!

見る前にご注意で〜す:画像は別ウィンドウで開きます。画像の権利はもこもこさんにあります。あくまで患者・経験者の投稿でお医者さんではないので、医学的にどうかは私たちにはわかりません。ということで、揚げ足を取るようなツッコミコメントは困るんですが、医学的に見た良心的コメントなどは大歓迎です。

それでは、【もこもこさんの偽粘液腫、見せてちょーだい】

ここをクリック(250×333 pixel)

もこもこさんより:
2009年6月末の岸和田で2度目の手術をうけました。術前の説明では、子宮・卵巣・脾臓・膵臓・大網は再発しやすいので切除します、と言われました。また麻酔の医師には、リスクがある手術なんですとも、言われました。えー!!と驚きながらも、「もうまな板の鯉」と受け止めたらいつの間にか熟睡して、手術に挑めました。今思えば、知らぬが仏状態だったのかも知れないですね〜なによりも、家族や沢山の友達 知人に励まされ支えられたことが力になりました。
結果は、画像にもある様に腹膜偽粘液腫と胆嚢(黒くて丸いもの)切除でした。先生がおっしゃるには「子宮など綺麗だった」、ということで、切除されずに済みました!!胸の真ん中から恥骨上まで31cm 開腹でしたが、術後11日目で退院出来ました。もちろん、自宅で1ケ月以上は静養できる環境だったからです。病理結果は「良性」でも、ずーと経過観察なんです。この病気は、本当に個性があって一人ひとり微妙に違いますね。サンプルのひとつとして少しでもお役に立てればと思い投稿しました。

50代婦人 もこもこ

追加で質問してみました。「最初の手術ではどんな手術を?」

もこもこさん:

一度目の手術は、婦人科の市民検診で卵巣嚢腫(影があるということ)で直ぐに手術でした。手術最中に婦人科から外科の医師へ交代して、盲腸腫瘤と判断されて盲腸切除と液体の排除だったようです。術後の病理検査で、腹膜偽粘液腫といわれました。それから、インターネットにて一番近くの岸和田へ転院しました。(2007年時点、インターネット検索で数ケ所位ヒット・・・スキルスのひろりんさん、支援の会、近大の病院など他、医師への質問コーナーなど)

 

もこもこさん、ありがとねー! たぶんこの後すぐには投稿、来ないと思うしね。だって、手術の付き添いのときに写真撮るって感覚の人、そうそういないからね〜。笑

このままこれ1回きりかもしれないんだけど、そしたらそれはそれで、すっごく貴重な第1回なのでした。

でも、諦めずに「アナタの偽粘液腫、見せてちょーだい」募集中!

緊急企画!「アナタの偽粘液腫、見せてちょーだい」

かねてより温めていた、緊急でない緊急企画!

半分ジョーダン、半分マジメ、手術でお腹から取り出されたアナタの粘液の写真を大・大・大募集! 他人のふんどしならぬ他人の偽粘液腫でブログをやっちゃう、良く言えば、腹膜偽粘液腫経験者さん参加型の企画、です。

これを思いついちゃったのは、お腹のなかに粘液が、、、ってどんなやつ?と思う人は多いのではないかと。たとえばGoogleで画像検索すると顕微鏡写真やアップの写真はあっても、患者の家族が執刀医から術後説明を受けるときに見せてもらう、「こんなん出てきました〜」なアイツの写真は、今のところ、私のコイツしか見当たらないっぽいからです。

コイツね、コイツ。↓

自分自身は撮れないから、術後説明を聞いた誰かが撮ってくれていないと、なので、レアな画像だと思います。そんなレア画像をお持ちの腹膜偽粘液腫経験者のアナタ、広く世の中に公開してみませんか? きっと、この病気の症状を知りたいと思うすべての人の参考になるでしょう。

【応募条件】

・ 腹膜偽粘液腫患者、経験者

ユーモアを解する人(この企画に目くじら立てるユーモアのない方はご遠慮ください)

・ 謝礼はありません。ごめんなさい。もしかしたら社会の反応を楽しむチャンスは差し上げられるかも!?

・ 画像の権利は投稿したアナタにあります

【掲載する内容】

・手術時の腹膜偽粘液腫、粘液、その他、摘出臓器などの画像1点(2点まで可)

・ちょっとしたコメント

・男女の別

・掲載するときのお名前(仮名、ハンドルネームなど)

【応募方法】

・まず、このブログに応募表明のコメントを入れてください。折り返し、応募先メールアドレスをメールいたします

 

ということで

ぶっとび爆弾企画、よろしく〜〜!

 

 

桜がたくさん咲いていた

♪ こーとーしーのー 桜は 遅めに〜 さあいた〜

でも去年はどうだったか、覚えていないというより知らない。「この桜吹雪が目に入らぬか。」はい、入りませんでした、自分のことで頭がいっぱいで。

そんな去年の4月14日に卵巣腫瘍の手術をし、腹膜偽粘液腫とわかって、ちょうど1年か。去年の今、ICUにいたんだなあ。あのときは辛かった。

今年はとくに花見をしてないけれど、気づけばあちこちに咲いていた。たとえば、築地警察署とヤマト運輸のビルの間にある公園。

 

きれいすな〜(しょこたん口調でお願いしマス)。4日前に写したものだけど。みんな、きれいな桜をupしていて桜だけだと負けるので、白バイ写真も入れておいた。きれいすな〜って言ってくんなきゃキップ切っちゃうぞ。あ、ちなみに昭和通を飛ばすと本当にキップ切られます(目撃談)。

公園そば、中央区役所前には花桃も咲いていた。

紅白、こちらもきれいすな〜。

さてと。

そろそろ、長らく温めていた「緊急企画」、このブログでやるかな。って全然、緊急じゃないじゃん。(と、不思議な予告をして本日はお開きといたします。)

 

『腹膜偽粘液腫の本邦における発生頻度・病態の解明・治療法の開発』のWebサイト

表題は

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 腹膜偽粘液腫の本邦における発生頻度・病態の解明・治療法の開発研究班 

クリックして中を見てね!

今年1月のブログにあげた「難病情報センターのサイト紹介(No.192 腹膜偽粘液腫)」のことである。

***

腹膜偽粘液腫というなんだそりゃ?なものになると、「余命は?」とか「不治の病か?」という疑問がわく人が多いのだが(実際、私もなったとわかったとき、調べて、そのときは愕然とすることしか見つからず気落ちした)、ここにその答えに代わるものが出ている。

稀な疾患で、原因も不明であり、治療法も確立されていません。この疾患は、不適切な治療が行われると死にも至る深刻な病気です。

(↑「概要」3段落目)

治療は外科的に可及的切除することがもっとも有効な治療法です。(中略)手術中は腹水を吸引し、腹膜や剥離面にこびりついている粘液を洗い落とす必要があります。このとき温熱化学療法が非常に有効です。

腹膜切除は偽粘液腫に侵されている腹膜を完全に切除する唯一の手術方法です。

(↑どちらも「情報」治療方法)

組織学的に境界悪性とされる播種性腹膜粘液腺腫症(DPAM)の術後5年生存率は我々の成績では90%であるが、悪性である腹膜粘液性癌腫症(PMCA)は48%と不良である。 原因は腹膜での再発、切除が不完全で腫瘍が遺残するためである。

(↑「目的」5番)

不完全切除の原因はPCI28以上・65歳以上の高齢者・小腸間膜高度転移・緊急手術例・従前の手術回数が多い例であった。このような例でも完全切除できるように、2期的手術・化学療法後の再切除を取り入れたいと考えている。

(↑「目的」研究計画・方法 4)安全で根治性の高い手術療法・有効な化学療法の確立)

ということである。

引用の、それも私の勝手な抜粋なので、実際のサイトに当たって確認していただきたい。

悪性の場合の成績がふるわないが、完全切除を目指して研究されていることがわかるので先生方の頑張りをひたすら応援だわ!なんだけど、これって1年じゃ終わんないでしょ。

自分の顔に慣れないので

一昨日、数日ぶりに便秘解除で(下痢気味だったけれど)体重計に乗ったら、39kgを切っていた。正月にちょっと増えたと思ったのに、また減ってしまった。

プチ腸閉塞後、展覧会やら会社のキャッシュフローやら、休んでいられない状況だったので、腸閉塞にならないようにと腹六分目、消化の良いものだけ食べる、ってことで過ごしたせいか、正月の貯金を取り崩してしまったらしい。

展覧会で撮った自分の写真を見て、なんか自分の顔っぽくないというか。どうも写真の顔に違和感あり。もうちょっとお肉があっても良い気分。

アブなくない程度にもう少し食べることにして(加減が難しいけれど)、おやつもしっかり食べようと。

で、こんなのを。

デーツ(なつめやし)。ねっとり激甘、高カロリー。小さいから、一気に2個はいける。砂糖不使用とはいえ、こんなに果糖たっぷりで大丈夫?な感じだけど、体重維持にはやはり便利かも。災害時の非常食にも良さそうってことで、また買ってこよう。
  • happy

    2012年04月11日(水)15:07

    返信

    pomさん、大丈夫ですか~?

    きれいなお顔がやつれてしまったようで、とっても心配ですよ!
    いっぱい食べて、太ってくださいね・・・。

    こちらも相変わらず便秘と頻便の繰り返しですが、無事に術後から一年が経ちましたわ☆
    昨年の今頃は、岸和田の病院で遠くの桜を眺めていましたが、今年は元気にお花見ができて幸せを感じてますよ。
    おまけに今週末は、東方神起の東京ドーム参戦です♪

    では季節の変わり目、どうぞご自愛くださいね。

  • pom

    2012年04月11日(水)23:57

    返信

    アンニョンハセヨ~。
    術後1年経ちましたか。
    お花見の後はモムチャンな男子を見に行くのね~~! Happyさんの盛り上がりぶりが手に取るようにわかりますよ。良かった良かった!

    こちらは疲れ気味なんですが、その後、オヤツ食べまくりなせいか、今日会った方に顔がふっくらしたと言われました ( ̄▽ ̄)
    なんか週替わりで変化してます。

    Happyさんも体調に気をつけて、コンサート楽しんできてくださいね!

  • happy

    4月 11th, 2012

    返信

    pomさん、大丈夫ですか~?

    きれいなお顔がやつれてしまったようで、とっても心配ですよ!
    いっぱい食べて、太ってくださいね・・・。

    こちらも相変わらず便秘と頻便の繰り返しですが、無事に術後から一年が経ちましたわ☆
    昨年の今頃は、岸和田の病院で遠くの桜を眺めていましたが、今年は元気にお花見ができて幸せを感じてますよ。
    おまけに今週末は、東方神起の東京ドーム参戦です♪

    では季節の変わり目、どうぞご自愛くださいね。

  • pom

    4月 11th, 2012

    返信

    アンニョンハセヨ~。
    術後1年経ちましたか。
    お花見の後はモムチャンな男子を見に行くのね~~! Happyさんの盛り上がりぶりが手に取るようにわかりますよ。良かった良かった!

    こちらは疲れ気味なんですが、その後、オヤツ食べまくりなせいか、今日会った方に顔がふっくらしたと言われました ( ̄▽ ̄)
    なんか週替わりで変化してます。

    Happyさんも体調に気をつけて、コンサート楽しんできてくださいね!

お向かいさんのその後(4)

先週、ついにお向かいさんが退院された。「おめでとうございます」だけれど、どちらかというと「お疲れ様でした」とねぎらいの言葉を贈りたい。

私の手術の1週間後に手術してから、、、丸9か月。いったんの退院、転院を経て、やっと。手放しで喜べないのは、自宅で栄養点滴をしばらく続けなければならないことなどや、合併症の根本的な治療がまだ残っているから。

これまで娘さんを通じて、折に触れて様子などを伺っていた。一時は生きる希望をなくす事態にまで陥っていたようだった。

私が入院しているとき、お向かいさんに東京に遊びに来てくださいと私は言った。お向かいさんも東京に知り合いができて嬉しいと仰った。私は秋冬の間、お向かいさんと娘さんと私が東京でお花見しながら散策する姿をずっと想像した。

今年の桜は遅かったけど、お向かいさんの退院を桜は待っていたのかな。残念ながら今すぐは無理だろうけれど、しばらくしたら二人は遊びに来てくれるだろう。豪遊するんだってさ〜。

退院が決まったときには、お向かいさんが長く入院している草津の病院に、「美人会」仲間のHIMEさんがちょうど検診で行き、お向かいさんに会って来たという。

「非常階段を上り下りする練習してましたよ。自宅に階段あるからって。目が輝いていました。」

お向かいさんも美人会入会ですよ!

病気の友は元気の友

4日前の日曜日、私が出品している某展覧会に「美人の会」のみんなが来てくれた。

美人の会。ふふふ〜〜ん♪ いつの間にやら結成されたこの会は、ポジティブかつエレガントに生きる腹膜偽粘液腫経験者(患者とは言わない)の女性たちの集まりだ。どんなことをしている人か一人一人紹介したくなるような人たちで、数人集まるとそれはもう華やか。私も会員になっているので、朱に交わって赤くなろうと思っている。

彼女たちのフットワークは軽い。気軽に展覧会に来てくれるくらいだし。このグループを見て、いったい誰が病気仲間だと想像できるだろう。

そんな「美人」ばかりが、なぜ珍しい病気に?

会長格のMさん曰く、「美人だと嫉妬されることも多いしね〜。羨望を一身に浴びちゃうのが原因なのよ」。

ということで、腹膜偽粘液腫の発生原因は医学的には解明されていないものの、彼女たちに限って言えばこのようなことが推測されるのである。(なんて書くと、「原因」を検索してこのブログがヒットしちゃうのかなあ。それで来ちゃったアナタ、スミマセン、原因は「他人の羨望」ですから〜。)

スーパーウーマンたちなので、病気になってもへこたれない。運も良いのか名医にも出会える。そして術前と変わらぬかのように過ごしている。

Mさんは以前、私にこんなことを言った。

「手術したからと身体が以前に戻ったと思うのはダメなのよ、以前が100だとしたら、今は50とか60とかかもしれないけれど、手術しなかったらマイナスになってたかもしれないじゃない。生きてないってことね。そんなのより遥かにマシなんだから、前と同じじゃないと悲観するのはおかしい。」

手術して5年経過し無再発、ストーマ装着の時期もあったというMさんの言葉は、食べられなかったり便秘と下痢を繰り返してひーひー言っている私にビビッと来たのであった。

その彼女が、またこんなことも言っていた。

「臓器をいろいろ取っても、意外に身体は気付いてないないものよ。エコーとか撮れば『ないですね?』って言われちゃうけど。身体に黙ってたら、身体もこんなもんだって騙せちゃう。結構普通に動いてくれちゃうんだから。」

自分の身体に黙ってれば、という感覚が面白い。「思ったら行動」を実践できるMさんらしい。実際には身体が慣れてきて、ない臓器をどこかでカバーするようになるのだろうが、要するに、「気にするな。生活に問題なし!」ということだ。

そんなふうに考えられる人たちだからこそ、今も輝いている。

とはいえ、再発がないとも限らない。再発したらまた手術すれば大丈夫と先生からは言われているが手術後しばらくは、かなりキツいわけで。Mさんも、手術して今まさに入院している他の仲間を心配していた。

さて、そんな彼女たち、疲れ気味だった私にパワーをチャージしてくれ、ランチ会合へと会場を後にした。私はお客様の予定などもあって失礼してしまったが、聞けばステーキ丼を食べたとか。美人は肉食系でもある。