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向こうに生るときは こちらにはいなくなり
こちらに在るときは 向こうにはいない
不規則な点滅
いく度も朝は蓋う循環
橋の方向
ひとがつくるまゆ その場 位置(で話すよりない) それから計りのない空間
形骸に生る狭間(明滅する辺空)にて循環し やはり澄明な糸に紡ぐ
真に向かって行くと同時に空へと向かって行く ドリル
ここで風車のように回るとき(いま)同じ風に吹かれて回るものもの
私の向こうとは私さえも隔たっているように
あなたの向こうとあなたも隔たり
風の向こうから隔たり 風は私の向こうと隔たる私に痛いほどだが
私の向こうはやさしい「風」を感じていた真空
風の死ぬ森
知っているのに忘れていた太陽
歩いていたのに忘れている地表
太陽から三番目の天体にて
大切な隔たりは真空の時のようにあり
風は淀み吹き過ぎた
風の音の誘う方へ
風の導く方へ風に向かって
それから風の死ぬ森
その分だけ生まれるモノ
先のことが見えるのではなく
引き戻せされるというのも違う
向こうの空が見えてくる気がする
その狭間の丘で
形骸(すべて)は失っていることで
形骸は生まれているように
形骸(モチーフ)が死んでゆく痛みを激しく知るとき
ワタシが死んでゆく激しさを知る
形骸が生まれるときの苦しさや喜びを激しく知れば
ワタシもそこに生ることを空のなかで知る
体も心も本来あるべきところに生ること
Eros & Venus
そもそも女性は完全で美しくそこからどれだけずつ引き算できるかがいわゆるErosの大切な材料の一つになる。柔らかさ、理想から微妙にずれた形態、またはある一人のよく知っている女性の内面そのもの。子どもあるいは少年のようなともいってもよい振る舞い。それとも行儀の良すぎる立ち居振る舞い。Venusからどのくらいずれた姿を見せるか。それはずれるほどVenusに近づくという意味ではVenusたる完成した形態、完全ということを知る。
野営
ここは戦場なので友人も家族も遠く、ヒトは日が暮れると静かに休めるところへ帰るけれどもぼくは野営も長く酒場にもカフェにも行けないので、ずいぶんの間ひとりでいる。そんなことをいってみるのもセンユウがいなくなってしまったからかもしれないなあ。
アイシテル誰かが世界のどこかで前へ歩き地面を踏みしめている、それだけでぼくは幸せだ、とその人は言ったよ。