第2回「腹膜偽粘液腫シンポジウム」

11月20日、腹膜偽粘液腫患者支援の会主催による「第2回 腹膜偽粘液腫シンポジウム」に参加した。100名近くの参加があった。

内容のメインは、米村豊先生による「腹膜偽粘液腫の最近の知見」と、腹膜播種治療支援機構 副理事長の勝谷禎介さんによる「腹膜偽粘液腫の患者支援と最近の動向」。米村先生から新しい治療法の話などもあって、もうびっくり、行った人は最新の話が聞けて良かったと思う。

いろいろな話のなかで、私が興味をもったことや、自分自身の今後に関係があることのみ書き留めてみる。私の思い違いが大いにあるだろうから、先生がこう言っていたみたいに転載するのはやめてほしいっす。そして、内容が気になった人は、いずれ出てくるであろう信頼できる資料をあたってほしい。

まず、米村先生の新しい手術法のお話。がんの治療で、生体内に含まれる天然アミノ酸の一種を体に入れると、がん細胞だけに入っていき、とある光を当てるとがん細胞が死滅する(光治療:PDT)というのがあるのだが、これを応用し、そのアミノ酸の一種を手術前に服用してから開腹すれば、特殊なレンズで見るとがんの部分が光って見える。その光っているところを切除する、とのこと。もうすぐやる、みたいな話だった。なんか、スゴイ。完全切除が基本なだけに、かなりの武器になりそうだな〜〜。

また、腹膜偽粘液腫で特異的に発現している遺伝子の解明と新しい分子標的薬による治療の話も。遺伝子の同定はかなりイイ線いってるらしい。現在までに見いだされた候補マーカー遺伝子が、、、なんて。そして、抗体になるたんぱく質が薬となるらしいのだが、でも、この薬ができるまでにはあと20年くらいかかるらしいので、今の最善の治療法となると、完全切除と術中温熱化学療法をセットにした、米村先生がいつもやっている方法となる。

ヨーロッパでは腹膜切除と腹腔内温熱化学療法(HIPEC)の併用が標準的治療になっているにもかかわらず、日本では腔内温熱化学療法が保険診療にも認められていない。腹膜切除と温熱化学療法をやらなければ、飛行機からパラシュートを着けないで落ちるようなものなのだそうだ。そこで! 腔内温熱化学療法について診療報酬制(保険診療)になるように署名活動に協力してほしいということだった。

次は勝谷さんのお話。

腹膜播種治療支援機構が行っている抗がん剤感受性試験は、ほぼ100%の患者さんが受けているとのこと。10種類の抗がん剤で見るのだが、奏功率50%以下ということが多いという。0%ばかりの人もいるらしい。私も受けたのだが、私の場合、2種類が70%を超えていた。ラッキーである。

また、厚生労働科学研究費補助金による難治性疾患克服研究事業の一環で、全国1086施設にアンケートを実施したことや、草津での先生の外来人数などのお話があったが、面白いと思ったのが、統計を取っているわけではないが、腹膜偽粘液腫の患者さんはイメージ的に小柄な人が多い気がする、という話。

この話は余談ではあったが、私も身長が低いし、その日お会いした人で患者だというに人も大柄な人はいなかったように思ったので、妙に納得してしまった。米村先生のお話のなかで、ヨーロッパでは100万人に一人と言われているが、日本での発生頻度を調査すると、65万人に一人みたいなことだったから、小柄な東洋人のほうが発生頻度が高いかもと、私は思った。

ちょっとびっくりした話としては、腹腔内温熱化学療法が保険適用外のため病院負担となっている事実は承知していたが、この療法のための機械は、草津の病院では腹膜播種治療支援機構が負担していて、すなわちそれは米村先生の負担であるとのことだった。

米村先生もおっしゃっていたが、腹膜播種を治療するために頑張っている世界の先生方は、私財を投じたり、逆境にめげず立ち向かっているらしい。ボールチップメスだって、先生は自分でお金出して開発したわけだし。そういう先生方のおかげで、今、私はこうやって元気で生きていられるんだ。。。

さて、先生と勝谷さんのお話のあと、先生への質疑応答があった。質疑応答のときの話だったか、先生のお話の中でだったか定かではないが、こんなことをおっしゃっていた気がする。。。(気がする、だから間違っているかも。)

「抗がん剤は効かないと言っているのに、抗がん剤感受性試験をする必要があるか?」

他のがんに比べて効かないという意味で、5人に1人くらいは効く。抗がん剤感受性試験をしておけば、再発して手術のとき腹腔内温熱化学療法でも効く抗がん剤を使える。なるほど〜〜。

「再発したら?」

再発しても、すぐ手術すれば大丈夫。低悪性の場合、44か月間は半年に1回は検査すること。定期的にCT、MRTをやって、見つかったら取る。悪性の場合は抗がん剤治療もある。腫瘍マーカーには見方があり、上がったからすなわち再発と思うのは早計。

「卵巣摘出で更年期障害があるが」

エストロゲンの、それもパッチを使えば飲み薬のように肝臓に負担もなく良い。がんのリスクが言われるが、腹膜偽粘液腫については問題ない。ふむふむ〜〜。

そんなこんなで、収穫多しのシンポジウム、最後に患者の体験談があった。男性一人と女性一人。で、女性のほうがワタクシだったりして。くだらない話をお聞かせしてしまい失礼しました。

  • jo

    2011年11月23日(水)21:31

    返信

    シンポジウムに参加していたものです。
    先月、妻がこの病気にかかっていることがわかり
    あわてふためきながら
    この会にたどり着きました。

    当日は本当に参考になるお話を聞かせていただきました。
    私どもも手術していくことになると思います。

    私も・・・関西出身者なので
    よけないことをいわないように
    妻の心の支えになるよう
    がんばります。

  • pom

    2012年02月07日(火)21:27

    返信

    joさん、こんにちは。
    お返事をしたつもりだったのですが、なぜかアップされておらず、今更ながらでお返事させていただきます。すみません!
    その後奥様の具合は、いかがでしょうか?
    手術の順番待ちだとすると、ちょっと不安ですよね。。。
    寒い毎日ですが、joさんも奥様もご自愛くださいますよう。

  • No trackbacks yet

Leave a Comment

* are Required fields