腹膜偽粘液腫になる確率が100万人に1人とすると(先日のシンポジウムでは、日本はもっと多いのではという話もあったが)、日本では年間120人程度の発生が推測されるという。稀な病気には違いないが年間発症率でこの数字だから、今、日本にはそれなりの数の患者または病気経験者がいるはずで、めちゃめちゃ珍しいものでもないとは思う。
だがそんな病気になり、さらに因縁めいた偶然に何度も遭遇してみると、これほどのことが度重なる確率は一体どれくらいなのかと考えてしまう。不毛な計算である。
人はこれを運命と言う(と思う)。
たとえ確率が低くても遭遇するときには遭遇する。遭遇しないときには遭遇しない。1か0かだ。
そんな中にあっても、人生が自分の意思や行動で変わるのは当然だ。病気を治すために医師を選ぶことだってそう。
偶然イコール運命ではなく、運命と意思・行動のコラボレーションによってこそ、あれほど不思議な偶然が生み出されるのだろう。