某地域では、春を告げるアイツが街を漂うニオイまでも黒く染め尽くしてしまうという。。。
いかなごのくぎ煮である。
昨年、お向かいさんとひさみさんから「我が家の味」を頂戴し、私は初めて食すいかなごのくぎ煮にすっかりヤラレてしまった。あれにはゼッタイ、常習性・中毒性ある物質が含まれているのだ。ご飯も進んでしまう。超危険食品である。
そして今年もひさみ家から来てしまった。う、う、うれしーやっぱり!
かの地ではこの季節、各家庭で大量に作って方々へも配るとのことで、専用タッパーや専用宅配便もあったりして、その経済効果もすごそ〜な一大イベントとなっているもよう。初めてこれをもらう他地域の人間は、一瞬どういうことでこういうことなのかが理解不能なのだけれど(←去年の自分)、理解できると今年も春の便りがやってきたと思うのだ(←今年の自分)。
ひさみさんのくぎ煮には、お手紙も付いていた。
今年も米村先生はじめ色々な方のおかげで、いかなごを炊く事ができ、本当に本当に幸せです。
今年はお向かいさんはベッドの上だけど、来年は又、pomさんの所へ春のたよりが届けばいいなと祈るばかりです。
これからも、お互い1日1日、楽しくすごしましょうね。
いつかまたお会いできる日を楽しみに……。
そーなんだよなー、お向かいさんはしつこいお腹の膿に今も苦しめられていて、またまた入院されているのだった。たぶん、「いかなご炊けない〜〜!」と悲しんでいることだろう。来年は絶対炊けるから。もう少しの辛抱だろうから!
話が飛ぶけれど、ふと、お向かいさんの娘さんが以前、お母さんのためにスープを作ったことを思い出した。確か、辰巳芳子さんのレシピのスープだった。きっとお母さんの食欲をそそり、元気になろうとする力をわき出させたに違いない。
実のところ私は、辰巳芳子さんのレシピは長いことピンと来なかった。だって栄養価が低そうなんだもん。十分な栄養摂取こそが重要でないか。しかしだんだんと、辰巳さんのレシピには栄養を補完するというか、生きる力を引き出す力があるように思えてきたのである。
そのレシピには日本の文化だったり季節だったり、私たちが生きて来た土地や時間を思い起こす風味があるのだろう。そんなことを思い起こせるというのはすなわち、自分の歴史があるから。これまで生きて来たからこそだ。その証を気づくともなく感じながら、さらに作った人の思いも受け止めながら、そうだ、また立ち上がろう、と奮い起こす力がわき出てくるのである。たぶん。
・・・スープのレシピに限らず、郷土の味や母の味は、生きる力を引き出すもののように思う。いかなごのくぎ煮もまた然り、だ。(口から摂取できないお仲間にとっては、そんなアイテムも使えず、精神力を強くして頑張らなくてはならないわけで、辛いことと思う。でもだんだん良くなる良くなる良くなるからね!)
そんな郷土の味を作る幸せをかみしめるひさみさんの「1日1日、楽しくすごしましょうね」は、とても素敵な言葉に感じる。(その理由を書こうとしたのだけれど、うまく伝えられない。。。)
んで。昨日はひさみさんは先生の診察の日だったわけで。ひさみさんは明るく毎日を過ごしているから、問題なしに決まってる!と思ったものの、やはり気になったりはする。で、大丈夫でシタ!なメールが。先生はいつものサササ〜問題なし、な感じで、ひさみさんはもっとよく画像見てくださいって言ったんだって。ふふふ。