わかりやすい勝谷さんの内容が初級者編(?)なら、米村先生のそれはアドバンストって感じか?
(こちらも同様、ちょ〜ざっくり記すが、取りこぼし内容や勘違い、私の思い込みの可能性もあることを十分ご承知おきくださいませませ。行った人、なにとぞコメントでのフォローよろしく! また、ご自分のブログ等に内容をアップした方や内容をアップしたサイトを見つけた方は、補完のためにも、ぜひともこちらのコメント欄にアドレスを入れていただくと嬉しいっす。)
なお当日は、「厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)総合研究報告書 概要版 腹膜偽粘液腫の本邦における発生頻度・病態の解明・治療法の開発に関する研究(H24−難治等(難)−指定−007)平成24年度 総括・分担報告書」(どこまでがタイトルなのか、わからない!)の本も置かれ、希望者はもらえた(同時に寄付のお願いもあり)。先生のお話を聞いてから本をみると、ビミョ〜にわかった気になる。
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【「腹膜偽粘液腫 最新の話題」米村豊先生】
上記の本にある研究により(研究分担者の先生方について説明あり)、2年間でわかったこととして以下の内容を発表された。
【腹膜播種治療の国際的機運が上がっている】
先生方の積極的な発表、論文
国際腹膜播種学会(第9回)のトピックス
→これまでHigh gradeとLow gradeしかなかったWHOの病理分類を、無細胞性粘液、High grade、Low grade、Signet(印鑑(環?)細胞癌)の4種類の分類に訂正することを提言。
→腹膜切除+周術期化学療法のトレーニングプログラムでの若手育成
【日本での発生頻度・症状・病能期間・High Volume Centerにたどり着くまでの経緯】
発生頻度を調べるために全国の1087施設へアンケートを実施。そこから、本邦における発生頻度は100万人に1.5人前後と推定。
→特定疾患かどうかに重要。
【新しい手術技術・スーパー温熱療法の開発】
抗がん剤単独では腹膜播種は治せない。(多剤耐性癌細胞の存在、血管のないところで育った癌細胞、癌幹細胞の存在)
癌幹細胞の治療は、腹膜切除と、スーパー温熱療法(60度以上にすると癌が死ぬ。具体的にはボールチップやアルゴンビームで焼く)を併用することで治療効果。
【PMPの原因遺伝子を発見】
5種類の遺伝子を見出した(国際特許申請中)
Low grade、High gradeのもののみ。
【転移しやすい腹膜・再発しやすい腹膜の存在】
リンパ管網の豊富な腹膜が転移・再発しやすい。
→それ以外の腹膜は取らなくて良い。また、そこの腹膜は再発予防のために最初の手術時に取る。
【再発を起こす確率(完全切除後)】
[組織的に見ると]High grade 33%、Low grade 19%、印鑑細胞癌 53%
[HIPEC]なし 35%、あり 21%(HIPECは再発率を下げる。手術時にHIPEC施行するが、出血量が多い等でできないことも。)
[PCI]9以下 12%、10~19 31%、20~29 36%、30~39 38%(完全切除できていればPCIが高くても一定の率に抑えられる。)
[術前血清CEA]10以上 38%、10未満 15%
[CA19-9]高値 44%、正常値 15%
上記を自分の場合と当てはめることで、再発リスクがわかる。
【再発再切除】
再発を起こしやすいところは、腹壁、尿管など。動脈周囲に見られる傾向。
再発の危険は5年ちょっとまである。(要観察)
再発発見の経緯は、腫瘍マーカー(42%)、腫瘍マーカー+画像診断(26%)、腫瘍マーカーは正常だけど+画像診断(26%)、鼠蹊部等に腫瘍を触れる(6%)。
(小さいものはCT、PETでわからない。また、腫瘍マーカーの見方として、CEAが20〜30以上だと再発の可能性。20以下で観察していてグラフが鋸状になる場合は違う。マーカーのグラフが右肩上がりなら再発。)
再発再切除後の予後は、Low gradeは良い(再再発も切除していくことで良好に保てる)。High gradeはやや良くない。
【術後合併症】
65歳以下は術後合併症が少ない。
合併症の因子として、PCIが20以上、手術時間が5時間以上、出血量が2.5L以上。
術前温熱化学療法をすることで、合併症が減る。
【腹腔鏡による診断・温熱療法・治療法の選択法】
腹腔鏡で、生食水洗浄をし虫垂切除あるいは生検で悪性度の評価を行う。温熱化学療法も行う。(入院日数は平均10日)
術前温熱化学療法でCEAが下がる。
悪性度により、PCI=0なら経過観察(該当者はほとんどいないが)。
無細胞性・Low gradeなら、3~6か月で腹膜切除+HIPEC。
完全切除可能なHigh grade・印鑑細胞なら、早急に腹膜切除+HIPEC。
完全切除不可能なHigh grade・印鑑細胞なら、全身化学療法(FOLFOX/XELOX×5)をして2か月後に腹膜切除+HIPEC。
【効く抗がん剤】
ゼロックスが最も有効、30%の腫瘍が消える。
FOLFOXも良い。
→High grade・印鑑細胞に。
薬剤感受性試験の結果を見ると、ドセタキセルがよく効く。ジェムザールも。これで温熱化学療法をすれば効果が見込めるが、現状では保険の関係上、使えない。(来年、厚労省の研究費が下りれば、やっていきたい。印鑑細胞などに福音。)
【腹水濾過凝縮再静注法の新しい利用法】
腹水濾過凝縮再静注法は腹水の症状緩和、腹水ドレナージの欠点を解消。抗がん剤の効果が上がる。
外来でやっている。
副産物で集めた癌細胞で、薬剤感受性試験ができる。樹状細胞免疫療法の抗原(自分自身のものでできる)となる。
【5ALAによる蛍光ガイド手術の確立】
ただし、Low gradeでは光らない。悪性度が高いと光る率が高い。
【妊娠も可能】
7人の患者が妊娠(6名は健常な新生児を出産、残り1名は妊娠10週目)。←世界で一番多い数(草津)。
出産を諦めなくても良い(Low gradeならPMP手術を延期可能。41歳以下は条件付きで卵巣子宮ともに温存できる可能性あり)。
【今後の目標】
PMP関連遺伝子産物;新しい腫瘍マーカー・分子標的薬
腹腔内化学療法の開発(前述ドセタキセル[タキソテール]の件)
免疫療法
IPS自己腹膜中皮細胞の樹立
平成26年度厚生科学研究費の取得
難治性疾患の国の承認
(あと、研修医療者絶賛募集中らしいyo!)
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【米村先生への質疑応答】
これについては、腹膜偽粘液腫患者支援の会のHPでアップされるとのことなので、そちらを見ていただきたく。
一つだけ、【患者ができる合併症予防は?】(←コレはオラが質問したんだyo)
食道癌(と先生は仰ったと思う)で口腔ケアした人は合併症が減ったという統計があるので、手術待機期間に虫歯治療・歯垢クリーニングをすると良い。←やったyo!
手術中出血が多いと脈拍が150まで上がるので、脈拍が上がるのに慣れる練習をする(ここで笑いが起きたyo)。走るとか温泉入るとか。←うわっ、やってないyo! 明日、走るか? もう、出血量が少ないよう祈るのみ。
食事療法は、済陽先生が言っているが、日本食でビタミンCを多く摂る。動物性脂肪は摂らない。そうすることで抗がん剤が効きやすくなる。←ビタミンCか〜。
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以上。ぐは〜。誰か、補完&訂正たのむ!