ice cream castles in the sky

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ペンが在りつづけている しばらく前から今まである瞬間瞬間(ときどき)の記憶 また記憶に映されるような瞬間があったといえる いまがその瞬間だとしたら
変わることを知らないものを知っているようなその記憶 それは在る狭間を通ると回り舞台のように唐突に現出するような向こうの日 向こうの日へは連続してはいないのだから半歩向こうなんてそういう意味ではあり得なかった ここからつづいていればそこもこちらの日々なのだった
だから見栄を張るような格好でも付けるような遠くの中途半端なところを夢見ても そこはいま視界にないのだからいくら目をこじ開けてぐるぐる見回しても意味はなく 森を抜ければ海 草原からそうしたらそこへ行くのなら目の前の鬱蒼たる木や草や蔦を手で分ける迷い込んだ森
夢に両手を伸ばしてみても見えてこない森の向こうの日 繋がっていないシーソーの両端は震えもしないのだろう
できることはこの場でモチーフを見つけることと ワタシをここから続く路を見続け 向こうの日を感じ続けられる丘の上に出てみることだ そこに吹く風に羽衣を着けて混ざるもの者
はじめてワタシタチが出会う場所
ここでは花も石も変わりつづけるから 変わることはないのかもしれない向こうの日を画面に呼びおこしたい 向こうの日のつかいとあそぶこの丘を描きたい fools on the hill
この小道から丘の上まで目を伏せないでツギツギに風景は変わるけれども ここではないそこに行こうと決めた そこが丘の上だと信じたfool 歩くだろうし何かしら業という手段で辿り着いた岩場に立てば 少なくともここが一面の草原になって人々が歩きはじめ街ができるまでは それがほんの一瞬のことだとしても存在が完成する喜びを 眠ることなく追いかけてある形骸に転がり込めた瞬間は
この賑やかな広場に誰かしらがいたとしても ふたりだけで会える場所へ 目さえふたりはなさなければそこで会うのは友人か恋人か 知らない人と一晩過ごすのならワタシは街娼 それともある集合形を連れて行く
いろいろと風景は変わり 胸の奥を通してここの空を見つめ風を調べて やはりいつかひとりで歩いていた
いま手に取り出した魔法ノホウキに乗ってあたらしい星へ降り立つまで 半歩向こうまでがワタシでその場での細胞のひとつひとつ さらにその中の宇宙のひとつひとつが ひとつの完成された画面の一点一点から目を離さずにいる様は美しく ひとつの画面の広さ大きさあるモノの形骸(ワタシ)がワタシの白い形骸に映される いつも街を歩くようにその辺りから選ばれたモチーフが刻まれる
人でも絵でもそのとき物質が形成される辺りに目の高さを移せば「ヒト」も「イシコロ」もそれだけでは美しいのに ここでは傷つけ壊し形成することを繰り返すから 半歩向こうのコトバで呼びかけたり 半歩向こうを消費することで形骸(ワタシ)が少し軽くなる
半歩向こうに丘 半歩向こうの狭間 半歩向こうはスクリーン(画面)
たとえば軽くなったワタシは丘の上にいる 狭間に滑り込む 目を開けていると自然に落ちてゆける狭間が在る
 《851231》

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