Archive for 2014年02月

Happyさんのこと

Happyさんに、1月の末頃メールした。メールはずっと控えていたけれど案じていて、頃合いを見計らってしてみたのだった。

しかし、お返事メールが来ない。

どんなときでも思いやりを忘れないHappyさんである。返事が来ないのは、できない状態なんだと察しがつく。だから、祈る思いで「実は大変だったのよ〜」なんてメールが来るのを待っていた。

土曜日に知らない携帯番号から電話があった。Happyさんのご主人だった。病室からだ。

正月の1日に大出血し、敗血症になったこと。今、かなり厳しいこと———。彼女の状態は今は手足も動かせないが、ご主人が耳元で大きな声で話しかけると目を動かして反応するという。「よかったらpomさんも、この電話から話しかけてやってくれませんか。。。」

気が動転するなか、私は電話口で叫んだ。「Happyさん! Happyさん!!! 聞こえる? pomだよ。頑張って! Happyさんが頑張ってくれなくて誰が頑張れるのよ!! 頑張って!」

「今、目が動きました。口もパクパクしています。何か言いたいのでしょう。」

Happyさんの綺麗な声が聞こえてくる気がした、「ぽんぽこさん、私、かなり頑張ってるんだけどね。結構辛いわー」。

Happyさんは声が綺麗で、クリっとした目が印象的な人。「Happy」と名乗るのは、そうありたいと願う気持ちとポジティブな心持ちからだろう。会えばいつも明るく、人をなごませる性格。そんな彼女も、不安な気持ちをちらりと漏らしたこともあった。また、できるうちに、楽しいことをたくさんしておくのだ、とも言っていた。

翌々日のご主人からの電話は、訃報となった。

思えば私が退院する2日前の金曜日、お母様とともに大阪入りした彼女は術前の受診を終えて、病室に寄ってくれたのだった。私が思いのほか早く退院してしまうことに「あらー、入院中に一緒に女子会するはずだったのにねえ。いやいや、早く退院できて良かったわ」と喜んでくれた。私も「いやー、ごめんごめん、お先にね〜」なんて軽口を交わした。

挨拶代わりに、彼女の分と思って余分に求め、岸和田まで持ってきた「うさポン」バッジをあげた。彼女が退院後、電車に乗るときにあれば役に立つだろうと思って。彼女のほうは、キャンディと東方神起のフェイスパックを私にくれた。私が入院中、寝たままでもキャンディは食べられるしパックして女子力UPできるだろうと思って。お互いのささやかなプレゼントは、結局、思ったようにならなかった。

あのときが、彼女との最後になった。日曜午前に私は退院し、入れ替わるかのように、その日の午後に彼女が入院した。

彼女は手術を待ち望んでいた。度重なる手術、抗がん剤治療、、、治療の苦しみも大きいけれど、それより治療しない苦しみのほうがずっと大きかったから。以前、「先生から、次に手術するときは人工肛門だって」と話していたから、そういうこともわかったうえでの選択だった。でも、まさかこうなるとは考えもしなかったと思う。私だって、逆転ホームランを信じていたし。

今、私の気持ちを表すぴったりした言葉が見つからない。ショックだし、悲しいし、寂しいし、何か頭がぼんやりするし、どこか心が落ち着かない。

このことをブログに書いたら、頑張っているお仲間も落ち込むかもしれないし、どうしようかと思った。でも、私には彼女の「今の気持ち」が分かる気がした。勘違いだとしたら申し訳ないのだけど、皆に伝えておいてよ、と思っているのではと。

彼女の結果は辛いものだけれど、多くの症例によってより良い治療法は見出されていく。彼女の例から、先生も看護師さんも他のスタッフの皆さんも、今より良い治療法を見つけてくれるのだ。だから決して無駄な結果などありはしない。

彼女からは教わることも多かった。くよくよしているより、ポジティブでいるほうが充実した時間を過ごせること。明るい性格は、他人にむやみな不安を与えずにすみ、それは結果的に思いやりにもつながること。自分から気軽に話しかければ、友達は増えること。。。

Happyさん、ありがとう。今も私の声が聞けるでしょ? 私は明日の夜に、会いにいくよ。お別れのつもりじゃない、だって、Happyさんはずっと私の心の中にいるから。

  • ちありん

    2014年02月26日(水)13:28

    返信

    Happyさん、pomさんブログによく登場してらしたね。
    きっと彼女も最後まで逆転ホームラン狙っていたと思います。
    Happyさん、頑張りましたね。
    ゆっくりおやすみなさい。

    • pom

      2014年02月27日(木)03:35

      返信

      ちありんさん、どもありがと。
      Happyさんはさんざん頑張ってるのに、頑張って、なんて言っちゃったよ、私。
      彼女はさ、優しい人だからさ、貧乏くじをわざと引いちゃったんじゃないかって、なんかうまく言えないんだけれど、そう思えてならないんだよね。
      もう今日になっちゃったけど、お通夜、行ってくるわ。

  • ぺぺろみあ

    2014年02月27日(木)04:58

    返信

    本当に心からの「 頑張って 」という言葉は、ちゃんと相手に伝わっていると思います。
    神様は優しい人を連れて行っちゃうのかな…
    お会いしたかったです。
    ゆっくり休んでくださいね。

  • 八重桜(ちびまるぱんだ)

    2014年02月28日(金)10:31

    返信

    Happyさんへ

    pomさんのブログに登場するあなたは、治療しながらもハツラツと元気に明るく前向きに過ごされていました。
    そんな あなたとpomさんが、私はとても眩しく 羨ましく感じていました。
    どうして?…どうしたらそんな前向きになれるの?…そう思った時期もありました。
    でも、時々登場するあなたをブログを通して拝見すると、私も元気が出ました。そして、私も負けじと前向きに!そういう自分になっていました。
    直接お会いは出来ませんでしたが、pomさんのブログを通して、確かに私は あなたからパワーを貰いました。
    ありがとうございました。
    ありがとうございました。
    私の想像するあなたは、きっと ゆっくりなんてしてないんだろうな。
    天国に行って、あれもこれも めちゃくちゃ楽しんでアクティブに動きまわっているんだろうな。そして、みんなを 優しく見守っているんだろうな。
    勝手な想像だけど。
    Happyさんの益々のhappyを願って☆☆☆

    ちびまるぱんだより

  • pom

    2014年03月02日(日)06:02

    返信

    ぺぺろみあさん、ちびまるぱんださん、どもありがと。
    ほんと、あの人はいい人だったね。きっと、天からもお仲間の皆を見守ってくれてると思う。んで、「やることやったほうがいいわよ」って絶対言ってるね。

    なんかでも不思議なんだけど、病気仲間っつーのはさ、どーゆー関係なんだろね。考えてみると、Happyさんと私はお互いの経歴も知らないわけ。だけど旦那さんも池田で会ってるし、お母様にも岸和田で会った。彼女とは、普通の友人には話さないことを話し合ったりもしていたし。
    なんでこんなこと言うかというと、飾ってあった写真が、私が知ってる顔じゃなかったんだよね。でも、あの写真の顔こそ多くの人の心に残る彼女なんだと思う。また、お棺に入った彼女の顔も彼女っぽくなかった。どっちも私が知ってる顔じゃなかったのよ。写真は病気になる前に撮ったものか、善良で美しい奥様風だったし、眠る彼女のほうは、見覚えのあるピンクのシュシュが一緒に入っていて、それ見て「Happyさんだ!」ってやっと思ったんだよね。
    私が知ってる彼女は、決して奥様風ではなくて、コンサートにガンガン行っちゃう、目がくりっとした人だったよ。
    私が彼女と関わった一時期は、彼女の人生のほんの短い期間で、たぶん、彼女の家族にとっては忘れたい期間であるかもしれず、、、なんと言ったらよいのか、うーん、そんな期間限定の不思議なつながりの友達だったんだなっていうか。。。すみません、うまく言えなくて。

  • ちありん

    2月 26th, 2014

    返信

    Happyさん、pomさんブログによく登場してらしたね。
    きっと彼女も最後まで逆転ホームラン狙っていたと思います。
    Happyさん、頑張りましたね。
    ゆっくりおやすみなさい。

    • pom

      2月 27th, 2014

      返信

      ちありんさん、どもありがと。
      Happyさんはさんざん頑張ってるのに、頑張って、なんて言っちゃったよ、私。
      彼女はさ、優しい人だからさ、貧乏くじをわざと引いちゃったんじゃないかって、なんかうまく言えないんだけれど、そう思えてならないんだよね。
      もう今日になっちゃったけど、お通夜、行ってくるわ。

  • ぺぺろみあ

    2月 27th, 2014

    返信

    本当に心からの「 頑張って 」という言葉は、ちゃんと相手に伝わっていると思います。
    神様は優しい人を連れて行っちゃうのかな…
    お会いしたかったです。
    ゆっくり休んでくださいね。

  • 八重桜(ちびまるぱんだ)

    2月 28th, 2014

    返信

    Happyさんへ

    pomさんのブログに登場するあなたは、治療しながらもハツラツと元気に明るく前向きに過ごされていました。
    そんな あなたとpomさんが、私はとても眩しく 羨ましく感じていました。
    どうして?…どうしたらそんな前向きになれるの?…そう思った時期もありました。
    でも、時々登場するあなたをブログを通して拝見すると、私も元気が出ました。そして、私も負けじと前向きに!そういう自分になっていました。
    直接お会いは出来ませんでしたが、pomさんのブログを通して、確かに私は あなたからパワーを貰いました。
    ありがとうございました。
    ありがとうございました。
    私の想像するあなたは、きっと ゆっくりなんてしてないんだろうな。
    天国に行って、あれもこれも めちゃくちゃ楽しんでアクティブに動きまわっているんだろうな。そして、みんなを 優しく見守っているんだろうな。
    勝手な想像だけど。
    Happyさんの益々のhappyを願って☆☆☆

    ちびまるぱんだより

  • pom

    3月 2nd, 2014

    返信

    ぺぺろみあさん、ちびまるぱんださん、どもありがと。
    ほんと、あの人はいい人だったね。きっと、天からもお仲間の皆を見守ってくれてると思う。んで、「やることやったほうがいいわよ」って絶対言ってるね。

    なんかでも不思議なんだけど、病気仲間っつーのはさ、どーゆー関係なんだろね。考えてみると、Happyさんと私はお互いの経歴も知らないわけ。だけど旦那さんも池田で会ってるし、お母様にも岸和田で会った。彼女とは、普通の友人には話さないことを話し合ったりもしていたし。
    なんでこんなこと言うかというと、飾ってあった写真が、私が知ってる顔じゃなかったんだよね。でも、あの写真の顔こそ多くの人の心に残る彼女なんだと思う。また、お棺に入った彼女の顔も彼女っぽくなかった。どっちも私が知ってる顔じゃなかったのよ。写真は病気になる前に撮ったものか、善良で美しい奥様風だったし、眠る彼女のほうは、見覚えのあるピンクのシュシュが一緒に入っていて、それ見て「Happyさんだ!」ってやっと思ったんだよね。
    私が知ってる彼女は、決して奥様風ではなくて、コンサートにガンガン行っちゃう、目がくりっとした人だったよ。
    私が彼女と関わった一時期は、彼女の人生のほんの短い期間で、たぶん、彼女の家族にとっては忘れたい期間であるかもしれず、、、なんと言ったらよいのか、うーん、そんな期間限定の不思議なつながりの友達だったんだなっていうか。。。すみません、うまく言えなくて。

雪の日

1月に入ってから何かと気ぜわしかったが、やっと一息つけた感じ。そんなことを言えるのも元気でいる証拠だ。

それにしても、先週末の雪といったら。その前の週だって降ったな〜と思ったのに。

先週の金曜は、会社でビミョーなトラブルも発生していたりして、夫とともに会社を出たのは8時過ぎ。予想はしていたが、自宅沿線の電車が動いていない。動かぬなら動くのを待とうホトトギスな夫を制し、動かぬなら遠回りでも動いている電車+バスで帰ろうホトトギス!で帰ることに。早々に帰宅した人が多かったのだろう、普通なら振替輸送でおしくらまんじゅうなはずの電車はガラガラで、雪積もる窓の景色を眺めながら、徐行運転の電車に揺られてバスの出る駅まで行った。

駅に着き、バス乗り場へ一目散。かなり並んでいて最初に来たバスには乗り切れず。雪がバサバサと降っていて寒いなか、次のバスが来るのを待つ。

「そうそう、HIMEさんち、この路線なんだよね。確か○○が最寄りのバス停だって。」

そして、やっと次のバスが来た。終点まで乗るので座れてホッとしていると、、、おや!? HIMEさん夫婦が、乗り込んで、来た〜〜〜! 

こういうとき、いつも思うのだけれど、偶然って必然だよね。大げさだけど。

そんなわけで、ちょっと面白かった。

HIMEさんたちが降りていき、外の風景を眺めれば、民家の外灯がぼんやり幻想的で雪国に旅行しているような気分になった。

自宅の最寄り駅まで着くと、電車が動いたらしく大勢の人たちが吐き出されるように駅から出てきていた。その人たちに混ざって自宅まで行軍した。

で、ここからがメインハプニングなんですけど。

マンションの入り口までやっと着いた〜っと思ったら、一緒のはずの夫がいなかった。。。

マンション内のエレベータを待つ数人の中にもおらず、後ろを振り向いてもおらず。風はビュービューしていて、雪はどんどん降り積もっている。夫がどこかで遭難してしまったもよう。

私は元来た道を戻った。と、ヨタヨタしながらも夫らしい黒い陰がこちらへ向かっているのを見つけたのだった。

「どうしたの?」

「そこの階段が、、、上れなかった。」

降り積もった雪で、もはや階段がただの上り坂になっていたため、革底の革靴を履いていた夫は何度も滑り落ちていたという。天気悪くなるって分かっている日にそんなの履いてるってのもどーかと思ったが、ここでそれを言っても仕方ない。

「そう、大変だったね」とねぎらうや、夫は雪の吹き溜まりに足を引っかけてバタっと倒れた。

「ウケ、狙って、もー。」

倒れ方があんまり面白くなかったのでそう言ったら、夫は

「違う。。。」

ウケでもなんでもなく、本当に足を引っかけて倒れていたのである。。。

やれやれ自宅に着いて、晩酌しながらオリンピック観戦しようとTVをつけると、電車の運行状況のテロップが流れていた。電車はまた止まっていた。

・・・そんなこんなな翌日、夫は健気に出勤していった。

マンションの前の雪がすごく、時間のある人は雪かきに出るよう館内放送があった。道具が足りないから、雪かきできる道具も持ってということである。なーぜーか大きなスコップがある我が家も出なくてはなるまい。と思って、私もちょっと遅れて出て行った。

「pomさん、大丈夫ですか。」

手術したのを知っている管理人の方が声をかけてくれた。今回の手術は楽勝だったので、ぜ〜んぜん大丈夫なんだが。

というわけで、人生初の雪かき体験。ちょっとしかやってないけど、腰に来るね〜。

と暢気な雪の日を過ごしていたわけだけれど、山梨に住む農家の知り合いは、ハウスの半分以上が全壊したとのこと。ニュースでは、各地での大変な被害を伝えている。私には今、いろいろ頭を悩ませていることがあるけれど、そんなこと、たいしたことではないなと思った。

最近の体調と、あれはどうなったか?

かなり調子良い、と思う。手術以前より良い気がする。きっと手術で癒着をはがしたから、お腹の交通が良くなったのではと思っている。

とは言え、依然、食事後しばらくしてからのトイレ滞在は続いている。ただ、なんだか前よりもひどさが軽減しているような? 一時よりも、滞在時間がやや短くなった気がする(それでも人よりず〜っと長いけれど)。

本当に今回の手術はたいしたことがなかったようで、今やスポーツクラブでジョギングなんかもできちゃう。そういうことはできるが、しばらくお腹の筋肉を動かさなすぎたせいか、ストレッチをするとお腹がつるという。「イダダダダ」とお腹をさすりつつ、しばし休憩となるのが結構恥ずかしくて、ピラティスなどのプログラムに出たくてもビミョーにためらっている。

お腹のことはトイレのほうもつるほうも、いずれは少し改善するだろう。でも、もし改善しなくても「これがワタシ」って感じもしてきていて、ま、いっか、と思う。

さて、体調と関連して「あれはどうなったか?」ないくつかのことを。

【右足付け根のしびれ】
前ほど感じることなし。あれ〜もう完全に治ったかな?と思っていたら、ごく最近、ピンポイントでちょっと感じた。そのしびれ感を例えると、Gパンの内側にセロテープの切れ端がぺろんとしながらくっついていたのを知らずに履いちゃってガサガサと痛かった、みたいな?

【捲土重来なVケロ対策】
手術痕の、その後なるであろう恥骨部のケロイド対策だが、今のところケロイドになる様相を呈していないため、まだ初期投資はせずに例のマイクロポアテープを思いっきり長めに真一文字に貼っていた(はがすときに毛が抜けないように、毛の流れをよーく下へなでつけてから♪)。

ところがあるとき、かゆくなってきて皮膚が一部かぶれているのを発見。ただいま何もしていない。が、そろそろ本格始動しないとな〜。

【みかんが入ってるようなお腹】
退院後からしばらく、お腹がぷっくりしているうえにみかんが入っているかのようにヘンにポコっと出ていた部分が、知らぬ間におさまっていた。よかった〜〜。あのまんまだったらどうしようと思った。

お正月の頃はお腹のサイズがまだ大きくてズボンが履けず、ひたすらワンピースか作業用ズボンの二者択一だったのだけれど、今は大丈夫。でも、お腹のぷっくり感がそのままなのはなぜ?

【耳鼻科】
その後、喉の痛みも治り、それから元々鼻は調子悪いと思ったことがないので、そのまま行ってない!

【ちょっと話は違うけど、「うさポン」缶バッジ】
電車の中などで術後・治療中を分かってもらおうという「うさポン」缶バッジを用意周到に入院前に入手した私だが、結局のところ、会社に出勤する頃には前の手術とは比べ物にならないくらい元気さを取り戻していたため、ほとんど使わなかった。

「ほとんど」と書いたのは、正確には一度だけ電車に乗るときに身につけてみたのである。だが、とても混雑していたため、バッジが付いているかどうかなんて、誰も気づける状態ではなく。

あのバッジは、ほどほどに空いている、あるいは優先席に座った、という時でないと効力を発揮できないという、ごく当たり前の事実を体験することはできた。ま、具合悪いときに混んだ電車に乗ろうとするのはやめましょう、ってことで。