2014年にケリをつけたことにして、昨日は新年気分で着物で出かけたりした。母ががんだとわかり、そんな暢気なことをしていて良いのかとも言われそうだが、大げさに不安がる必要もなく。
ーー数日前、母の外来に付き添った。
母は下部胆管がんで、消化器内科の主治医の先生が仰るには手術できるという。「70代後半、80代でも今は積極的に手術をしているんですよ。」そう仰りながら、そのあと先生がどんな言葉をつかったか忘れてしまったが、母に生きる気力を尋ねたのだった。
母は、「ハイ、私は生きまくりたいです。」
「生きまくる」だって。ぷ〜〜〜! 先生も私も苦笑いというか、でも話の方向はすんなり決まった。私は母の顔をのぞきこんで言った。
「だったら手術だね!」
とは言っても結構大変な手術みたい。術後QOLの低下もあるというようなことも仰っていた。
しかしそれについては私は心配していない。膵頭十二指腸切除術らしいのだけれど、難しいのは先生のほう。なんとか腕の良い先生にお願いしたいが、こちらが頑張ることは特になし。同じ手術ではないけれど、お腹の手術ですんごいヤツ、ワタシ経験してますから〜〜。母に体験談を話すことができるから〜〜! 半年くらいはヨロヨロだとしてもそのうち復活できるってことを知ってるから!
母にはここに至るまで、私の体験とそこから得た知識を元にあれこれ情報を伝えていた。
私「万一『がん』って言われたらね。」(心の声:閉塞性黄疸で胆石でなかったらがんの可能性高そうだよ。)
母「がんなわけないじゃない!」(心の声:それ実は心配してるんだけど、そう思いたくないし。)
私「手術できると言われたら喜んだほうがいいよ、手遅れな人も多いらしいし。」(下部胆管狭窄でエコー、CTで腫瘍が見つからなかったことを考えると、手術できそうな予感なんで、なんとか手術受けてちょんまげ。)
母「手術!? 嫌だわっ。」(とりあえず毎度否定しとくのがお約束なんで。)
私「しっかり治すつもりだったら手術だから。」(つべこべ言わずについて来い!)
とまあ、そんな感じで主治医の話を聞く前に事前レクチャーしておいたのである。
なワケで今後の方針を即決したのだった。ちなみに我が家のキーパーソンは私であり、父は母本人が決めたことに文句言う人間ではなく、弟は私が決めたことに納得するから問題ない。一旦家に話を持ち帰って再度受診時に回答なんて言っていたら1週間は遅れてしまう。こういうのはとっとと決めるのが良いのだ。
「では」ということで、先生は早速その日のうちにできるMRIと肺活量検査のオーダーを入れ、さらに胃の内視鏡、大腸内視鏡、消化器外科の先生の受診、そしてもう一度、消化器内科受診の予約を入れた。
肺活量の検査には私も一緒について、技師さんと一緒にパフォーマンスして吸ったり吐いたりするタイミングを母に知らせた。なんでこんなことを調べるのだろうと思っている母に「手術の時に重要なの」と教えつつ、ちょっとこちらも緊張したりして。自分が手術するときの不安だった気持ちを思い出してしまって。
MRIのほうは事前予約優先だから、飛び入りの私たちはずいぶん待つこととなった。着替えた母の隣に座りながら、この分では母が終わるのはいましばらくかかりそう。ふと、母に番号表を持たせて「ちょっと出かけてくる。終わるまでには必ず戻ってるからね。」と言って、私は席を立った。NEWさんのところに顔、出そう。。。
このブログにコメントしてくれるNEWさんが、そのとき、カロリー点滴のために同じ病院に入院していたのであ〜る。まったく世の中は狭い。
んで、NEWさんがいそーな階に行って、ばっちりNEWさんを見つけました〜〜。ぐは。
お邪魔しますとカーテンをそっと開けたら、奥様は挨拶してくれたんだけど、NEWさんったら私の顔見て「誰?この人」的反応を示した後で「ああpomさん!」ってオラオラ〜〜。でもその日、私は眼鏡をかけていたのである(いつもはコンタクト)。さらに昨年末にビミョーにヘアスタイルを変えてもいたから、わからなかったもよう。
燃料切れ状態で相当ヨレヨレなのかと思いきや、その割におしゃべりも力強いこと半端なく、高カロリー点滴が効いているとのことだった。
NEWさんの状況は、彼のブログに出ているからそちらを見てね!なのだが、つまるところ大学病院やハイボリュームセンターは大きな手術等をする場所(ポイント)であり、そこを通過後の継続的なトリートメントは研究対象とならない限り、もっと身近な病院が適しているのだろう。
さて、話が母のことに戻るが、今回、私は患者の家族という立場になり、初めて気づく事も多いなと感じた。
当事者であった時は逼迫した恐怖感が大きく、家族のことを時に「のんきに構えて、ったくも〜、私のことを最優先してよ」と思うものだが、家族は患者への接し方に神経使ったりするし、突然にして降りかかった付き添いやら何やらの時間のやり繰りに追われることとなる。第一、何しろ心配である。当事者以上に心配しているかもしれない。でもそんなそぶりを示したりはしないのである。患者をもっと不安にさせちゃいけないから。
と、それにしても母の手術に至るまで、何回病院に来ているのやら。今後も続くし。ただ、母は足が弱くて一人で行けないし、第一、これまで一度たりとも入院や手術などしたことないどころか、私が知っている限り、病院にかかったのは皮膚科に行ったくらいの健康優良ママで、やることなすこと初めてで要領を得ない。何事も初めては不安なもの、だから大ベテランな家族である私に付き添ってもらいたいと、いつも電話してくるのだった。
正直なことを言えば、仕事が詰まっていると困るなと思ったりしたが、そのときに「お隣さん」からもらったメールが私の心を変えた。母からあてにされるってことがどれだけ良いことか(自分が病気だったら母親だってあてにできないもんね)、そして親孝行になるならやるだけやっといたほうがいいなと気持ちを改めたら、なんだか嫌な気分が吹っ飛んで、むしろ積極的にやってくど〜〜ってな感じになったのである。
と、「お隣さん」とはコメントで名前改めまして「お隣さん」となった草津組の彼女である。無事手術を終え草津を退院して地元に戻ったものの、例のチョー氏の襲来に遭い、ただいま流動食という情報をNEW氏より入手している。でもいつも彼女は温かいメールなんだよね〜、励まされるわー。
お互い励ましあって前進できるっていうのは、人が持つ潜在的なパワーを引き出せるもののような気がする。私が患者となって皆に励まされて前進しているように、母も励まして前進してもらわなきゃ。って、あの母だから、「あなたに言われなくても前進しますよ」って言いそうだけどね、だって生きまくるって言ってるんだから。
とりあえず、グラグラしている歯が1本あるっていうので、明日の受診時、歯科の受診もお願いできないか、先生に聞いてみよう。感染症のリスクは減らしておきたいしね。おお、なんか患者知識が役立ってるじゃん?