5月27日の午前、私たちは衆議院第二議員会館に集合した。
その日の私たちのメンバーは、腹膜偽粘液腫患者支援の会の代表・藤井さんと藤井さんのご主人、それからHIMEさん、M.H夫人(ちゅっこさん)、2児の父さん、そして私。このブログでも名前が出てくる人ばかりだが、私以外の3人は会の総会に出席していて、藤井さんの呼びかけに「行かずばなるまい!」と男気&女気を出したのだと思う。
患者4人は、いま闘病している仲間や無念にも天国に旅立った仲間の代弁をしなければと、自分の実体験や今後の不安とともに、治療法の研究援助と医療の充実、必要な人への医療費助成を訴えていこうと、言いたい事をまとめて臨むことにした。
議員会館を入ってすぐのところで4人が待っていると、藤井さん夫妻がやってきた。ご主人が段ボールを括り付けたカートを引いて来た。「途中でカートが壊れちゃって。。。」
3万名ほどの署名の紙が入っている段ボールは、いかにも重そう。藤井さん夫妻はこれを毎回陳情のたびにこうやって持って行ってくださってたんだ。。。実際にその姿を見ると、うぉおおお〜アリガトゴザイマス!と思う。
セキュリティチェックを通り入館証をもらって、私たちは約束の時間より少し前、民主党の衆議院議員である津村啓介さん(議員って「先生」と呼ぶべき?)の部屋へ向かった。
(余談ながら、私はかなり昔、衆議院議員会館にただのお使いで行った事があるのであ〜る。昔の建物とすっかり変わって、どこもかしこも広々していた。以前の議員の部屋は立ち話くらいしかできないような感じだったと記憶している。)
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この日は、厚生労働省の疾病対策課から課長と補佐の方、津村議員と秘書の方、そして私たち6名がその席に着いた。こちらの陳情は確か8年前からしていて、10回目なわけだけれど、疾病対策課の課長は前回とは違う方との事。津村議員は前回も一緒に陳情してくださっている。患者のうちHIMEさんだけが前回も同行していて、あとの3人は初めて。
想定していた進行は、藤井さんが陳情内容を述べた後に患者が順番に訴えて、議員からもプッシュしていただいて、課長から質問やコメントを頂戴しつつ、署名ド〜ンで今度こそよ・ろ・し・く、みたいな。ところが。。。
藤井さんの話の後、課長から腹膜偽粘液腫についてどのように理解しているか(それは私たちが理解していることと同じに思えた)、そして先だって成立した難病法の話となったと思ったら、腹膜偽粘液腫は指定難病にはならず、難病対策ではなくてがん対策の方へ行ってくれというようなことを話されたのである。
そのときの状況を「プロジェクトX」的に伝えるならば、
課長の言葉に、皆、凍り付いた。
少し経った今でこそこんなふうに言えるけれど、あの時は青天の霹靂な寝耳に水で茫然自失だったyo。
各自準備して来た「訴え」なぞ無意味になり、患者4人は目を丸くして、課長、議員、藤井夫妻の話の行方を見守っていた。話を聞いているうち、私はどうしても課長に質問したくなって伺った。難病法が成立する前の参議院厚生労働委員会において、政府参考人が、個別の指定難病の選定に関する患者の方見、要望等については、厚生労働省において聞き、適宜、対象疾患を決める第三者委員会に伝える場面もあろうと思う、と言っている、だから私たちが難病に指定してほしいという要望も伝えてくれるかと。
答えは、それはムリってことらしかった。藤井夫妻、HIMEさんが現状の困難を訴えても、そもそもお宅らカテゴリー違うし〜、みたいな(実際の課長は大人力あふれるきちんとした話し方をされていまシタ)。
昨年まで、難治性疾患克服研究事業として米村先生たちの研究に補助金が出ており、それはすなわち難病対策としてだと理解するのだが、難病法が決まったからなのか、閉め出し食らいました感がハンパなく、津村議員も、患者の利益にもなり、新たななんちゃらをしなくても良くて無駄を省けるならば、パキーンと切り分ける必要もないのでは、みたいな(実際の議員は若い力あふれる頭脳明晰な話し方をされていまシタ)。で、課長に対して、第三者委員会の対象疾患選定前に再度、話す機会を得たいと仰ってくださったのである。
そんな流れの後に、署名は厚生労働省疾病対策課へと渡され、陳情(だったのか?)は終了した。
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お世話になった津村議員の部屋を出てから、地下のコーヒーショップに移動した私たちは、先ほどまでのことを話し合った。ゴール目前のつもりが、いきなり「あなたの行く道はあっちですよ」と遥か遠くを指差された感じで、皆、その時は冷静さがやや欠けていたけれど、とりあえず「あっち」である「がん対策」について勉強しよう、その上で、今後、どうしていくのが最善なのか考えていこう、となった。
いろいろ考えると、もはや難病対策に腹膜偽粘液腫が入る余地はないと感じる。課長は結構はっきりと言っていたもん。それよりも、がん対策で掬い取ってもらうほうが筋を通しやすい。
その後、藤井さんも同様な意見を持ったようである。