昨日はまた地震で、なんだかなー。それはともあれ、
少し、おさらいっス。
2015年5月現在の、日本での腹膜偽粘液腫(以下、PMPと略す)の治療の現状などなどを、私が知っている範囲でまとめとくYO!
勘違いもあるだろうし個人的感覚が多分にあることをご了解ください & 責任は負えないので、よくよくお調べになって自己判断のほどを。
【PMPの治療法】
基本的に大学病院クラスに行っても、緩和治療となる。
その場合、腹水を抜くのと、虫垂、大網、女性は子宮、卵巣も含めて摘出。ほかにやるとしたら、術後に抗がん剤治療をエンドレスで。で、腹水がたまるごとに抜く。
しかし。治すことを目的とした治療法もある。
それが腹膜切除+腹腔内温熱化学療法を用いた手術である。だが、日本では標準治療として医師の皆が認めるまでに至っていない。
大学病院クラスでもやれない理由は、ズバリ難しいから。手術するのに相当熟練していなければならず、できる医師がめっちゃ限られる。もちろん、切るとこタップリなため患者に合併症や術後後遺症も起きやすい。
腹膜切除+腹腔内温熱化学療法での手術の場合、腹膜のほかに切るところは虫垂等上記の臓器に加えて胆嚢、脾臓が基本。オプション(?)として、症状により大腸、小腸(の一部)、胃、その他。または、それらの一部とか。いずれにしろ、まじかよ!?そんなんで生きてられんの?と最初は思う大手術。だが生きてる人、多数。私も含めて(まだ術後約4年だけど。お腹の調子がイマイチながら至って元気。先週木曜も会社忙しくて徹夜だったんだよ徹夜っ。こんなことしてたら体悪くするよなあ、と発症前とほぼ同じこと言ってる)。
【ここで一息、「治す」「治る」とは?】
治す、治る、は、いわゆる完全寛解の意味だと思う。疾患と思えるアヤシイものがぜーんぶ消えちゃうことだ。
治すことを目的とした治療、と言っても、現在の医療では、PMPになっちゃう遺伝子まで消し去ることはできないし、再発リスクは残ってしまう。がん治療とかもそう。
完璧に治す、っていうのは、遺伝子研究が進んだ時にこそできるのだろう。
【日本で、PMPを治す手術ができる医師と病院】
すなわち、PMPの治療として腹膜切除+腹腔内温熱化学療法ができる、という意味で。
◉ 米村豊先生率いる米村チーム。
ぶっちぎりのイチオシ!
米村豊先生は国際腹膜播種学会(Peritoneal Surface Oncology Group International)の重要メンバーで、PMPを含む腹膜播種治療での世界的トップなのである。そんな先生が日本にいるなんて〜、ありがたい、の一言に尽きる。
米村チームの病院は、滋賀県の草津総合病院・腹膜播種センター(下のほうに問い合わせ・外来予約先あり)と、
大阪府の岸和田徳洲会病院・腹膜播種センター。
手術でなくまずは診療(セカンドオピニオンなど)を希望するなら、静岡県の池田病院・腹膜播種外来でも可能。手術は上記2病院のいずれかで受けることとなる。
米村チームがイチオシの理由:
この手術において、日本のみならず、世界でも右に出る者なし、な経験数を誇り、ここでできなきゃ他はもっと無理、と考えてよろしいかと。逆に、他で無理でもここならできる、ってこともある。
その手術のペースは、私が知ってるのが変わってなければ、草津は週1、岸和田は週2で手術日設定され、1日に複数例やっちゃったりもする。手が早いから複数例できるのだろう。ということは患者にとっても優しいということかもしれない。
残念なところは、何しろ患者が集中しているから、急を要さないと判断されると随分先の手術になったりする。また、例えば岸和田徳洲会病院では「え?まだ膿ダダモレですけど?」と思っても自宅療養&通院等でなんとかなると判断されれば、退院となる。
それから、何しろいまだこの手術を認めない医師がいるため、地元に帰ってきても何かあった時受け入れ拒否を食らうことも。私も元の大学病院では「もう来るな」と言われたっす。だから自分自身はかかっていない(母がお世話になってるけど。違う先生に)。でもだいたい、捨てる医師あれば救う医師もあるもの。私は今、会社そばのクリニックと家のそばの総合病院にお世話になっている。
◉ 矢野秀朗先生のいる病院。
矢野先生は、東京にある国立国際医療研究センター外科・下部消化管外科。
東京という点と「国立」っていうブランド力!と思う。しかし経験数では圧倒的に米村チームに及ばず。また、PMPはお腹の中全部を手術できなくてはならないということで、下部消化器が得意でも上部消化器はどうなのか?と不安になる。
と、辛口紹介だけれど、昨年、ここの腹膜偽粘液腫の減量切除術に対する周術期腹腔内化学療法が先進医療Bとなったのである。
どういうことかというと、これまでPMPでの腹腔内温熱化学療法は保険給付となっていないため、認められない混合治療として、すべての治療が自費となってしまうところ、腹腔内温熱化学療法だけ自費にする混合診療を認めるよ、ということである。
そもそも先進医療は、保険給付の足がかりとして先んじて認められるものだから、腹腔内温熱化学療法も適用になる可能性が高まったのである。ということで、その点で大変ありがたい。
ちなみに、米村先生のところと矢野先生のところでは、腹腔内化学療法のやり方は違う。
◉ 鍛利幸先生のいる病院。
鍛(きたい)先生は、大阪府の市立岸和田市民病院。
最近、お噂を聞かないけど。。。私が岸和田徳洲会病院に入院中、米村先生の回診で鍛先生がご一緒にいらっしゃったことがあった。私が驚くような大手術の内容を初めて知ったのは、鍛先生の論文を見たからで、思わず「先生を存じています!」とベッドから叫んだのだった。
こちらの病院では、腹膜播種性悪性腫瘍に対する治療プログラムがあり、WEBに書いてあることは誠にわかりやすい。(が、改行してほしい。)
それにしても、なんで岸和田にそんなに集中してるのか???
◉ 他にも先生がおられたら、情報お待ちしておりマス。
【手術・入院はハウマッチ?】
私が岸和田徳洲会病院に2011年6月から4週間入院、手術した時、月がまたがったから2回支払ったのだが、支払い合計は全部で20万円弱。20まんえんですよ、奥さんっっ。差額ベッドでもなかったし。
最初の月(手術している月)の193万円、次月の64万円、合計257万円分が保険適用となり、高額医療というわけでぐぐ〜〜っと安くなったという。ブラボー、日本の健康保険制度!!
腹腔内温熱化学療法やったら自費では?な質問には、草津と岸和田徳洲会病院ではそれを患者に請求していない。なので、健康保険でまかなえるというわけ。金額面では他の手術と変わらない、ということを強調したい。
市立岸和田市民病院ではどうなのかわからないが、たぶん市民病院だから同じような状況かと推察する。
国立国際医療研究センターは先進医療として、プラス29万3千円(保険給付されない費用)。(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000059754.pdf)
今後、国立国際医療研究センター以外も先進医療を申請する可能性は十分にある。そうなると、その時に受けた人は高くついてしまうのだが、長い目で見ると患者全体のためのステップだというジレンマ。。。
あと、今後、食費がねー、自己負担額が高くなるし。まあでも、食事高いと思えるようになったらシメたもの。術後、絶食が続くこともあるし。
【治るという手術を受けるべきかどうか】
これはもう、本人の考え次第。家族とかより本人の意思が大事。
生きていたいのだという思いが強い人、性格が明るい人は受けるべきだと思うけれど、気持ちが絶えず後ろ向きだったり恨み辛みが多い人は勧めないかも。
長引く合併症にへこたれてしまうこともあるだろうし、症状によってはストマになることもあってそれを受け入れるまでが辛いかもしれないし。
また、PMPにはいくつかの型があって、悪性度が高いのも存在する。そういう場合は結構キビシい状況を強いられたりすることもある。とはいえ、悪性度だけではキビシい具合を測れなくて、いろいろな要素が絡む。
そのあたりを深堀りしたい人は過去記事「第3回 腹膜偽粘液腫シンポジウム 内容(米村先生編)」を見て。
例えば、ひさみさんは、「私、悪性なのよ」とまるでアデージョみたいに言うんだけど(モテモテ美人なので真正アデージョだけど)、でも悪性度が高くても、術後とても元気に毎日を過ごしている。悪性だからといって悪くなりやすいとは限らないのだ。
そもそもPMPは自分の体の中の出来事である。とりあえず悪いところは外科的にオサラバして、新しいワタシになった気分で自分自身を愛してあげたら、手術の傷も癒えるし見えない悪いところもおさまっている気がするんだけど。。。
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あ〜〜、久しぶりに投稿して長編になってしまった。
偉そうに書いてしまい、お目汚しで失礼をいたしました。
2015年6月2日:記事をちょっと追加・変更しました。