ラブリーな院長先生

「瞬察」の続き。

1年ぶりの池田病院は、月一の米村外来で待つあの健康管理センターの椅子が、また変わっていた。確かずっと前は昔ながらの茶色ので、去年はピンクで、今年はキャメルっぽいツートンだ。もはや私が好きだった足裏マッサージ機なんか跡形もない。なんだかこの空間がジワジワ小洒落てきている。。。

以前は、鍾乳石の置物とかあって、ちょっとしたミラクルワールドで。なんだか昭和を味わえたものだ。それが、今ふうの、ちょっとオサレなクリニック系内装ではないか。でも、壁のレリーフはそのままなので、なんかホッとした。何もかも新しいと、慣れるまでストレスだもん(私の場合)。

MRIが終わり、血液検査をすませ、廊下の長椅子に座っていると(ここは思いっきり昭和っス〜)、おお!ぺぺろみあさんが。1年も会ってない感じがしないなあと思いながら手を振って、その後ろからカルタンさんが歩いてきて、「セットで認識」した途端、なぜか懐かしく、数年前のあの頃の感覚が蘇った。

で、さらに待っていると、偶然にも池田病院の院長先生が通られたので、先日の患者会講演会のときの院長先生の写真を、先生に直接お渡しすることにした。

「院長先生〜!」

「おお、今日はなんの用事?」

「今日は私は患者で来ました。」

「元気すぎて患者には見えないじゃん。ペチッ」と、院長先生は私の背中を叩きながら、笑った。そして院長先生に写真を差し上げた。

米村先生の診察もすみ、勝谷さんともちょっとお話しし、あとは会計して終わり。なんだけど、なかなか会計が呼ばれず。それでひたすら待っているところを、またまた院長先生が通りかかり、面白い展開になったのであ〜る。

院長先生にあの待合室にあった美術品のことや、病院の建て直しの噂をちょっと伺ったところ、持っておられる絵画を見せてくださると。それも今! 思いもかけない展開である。その日一緒に来た夫とともに、私たちは病院の裏の介護老人施設に案内されたのであ〜る。

途中、小さなパティオみたいなところがあり、そこにケースがあって、以前、外にいたと思われる亀が1匹だけ、いた。

「亀、いますね!」

「亀はもういないよ。鶴はいるけど。ナンチャッテ〜。」

と、院長先生は彫像の鶴を指しながら、スタスタと私たちを先導。

さて、その施設には、廊下にたくさんの絵画が飾られていた。まず、池田病院の職員だったという方の日本画がたくさんあった。遺族からの申し出で買い取ったとか。その画家の作品が掲載された年鑑も見せていただいた。有名画家とともに前のほうに出ていた。また、地元の画家の作品なども。とにかくたくさん、あった。買うだけでなく、もらったという作品もあった(とても大きく、輸送費がすごかったらしい)。

私がイメージする老人施設、病院でなく、アットホームでいてビミョーに高級というか、言葉はぴったり来ないのだけれど、気取らない本物のある居心地の良さを感じた。

そして通された部屋は事務局長?のお部屋には、あの以前の雰囲気を持った美術品もいくつか置かれていた。

夫が部屋に飾ってある絵(あの雰囲気ではない)について尋ねると、片岡珠子だという。

「リトグラフだけどね。」

それまでの院長先生とのいろいろな話から、どうも院長先生は、作品に惚れて、とか、投資のために、とか、飾ってステータスに、とかで買っているのではなさそうだった。もしや、周囲の人たちからは、そんなものにお金を出して、と思われているかも?

しかし。私は自称アーティストとして、思うのである。院長先生が作品自体に価値を認めたかどうかは知らないけれど、先生は結果として、作家や作家の家族を応援している。有名アーティストだって、ビジネスに乗せる方法を考え苦労しているなかで、作品を買いあげたり、他人の目に触れる場に飾るというのは、作家にとって大変ありがたいことなのだ。院長先生は、地元や身近な作家を応援しているのである。

そんなこんなで、病院内は美術品が溢れてしまったのだろう。まあでも、趣味性のものは万人受けはムリ。鑑識眼がみうらじゅん系までいかないとこの良さはわかりにくいかも?

というわけでかなんでか、次の代となる副院長先生の号令のもと、健康管理センターはおしゃれで爽やかに変身し、壁面レリーフだけが残ったもよう。副院長先生の気持ちもワカルし。

だけれど、院長先生のあの感覚と面白さは非凡であり、とってもラブリー。あの院長先生のあの性格だからこそ、昔、米村先生の手術も引き受け、また地元でも愛される病院となったのだと思う。

で、余談ながら、その日の院長先生観察&会話によってわかったどんだけ〜なラブリーぶりは、、、
米村先生が月イチで使うあの部屋が、院長室だったり(意外や質素)、
実はあの病院に住んでいるんだとか(数キロ離れたところにちゃんと家があるそうだが)。
そして、白衣の胸ポケットにたくさんペンを挿している。(どうも、自分が使いたい時にすぐ使えるよう持ち歩きたいタイプ。)
んで、超分厚くなった手帳が開かないように、赤いヘアゴムでとめていたり。(さらにゴムを手帳の色の、黒い布テープで手帳の表紙に貼って固定。買い換える気がなさそうなところが面白い。)
etc.

院長先生って、平野レミ系だと思う。

昔、平野レミさんが、財布の代わりにジップロックにお金を入れている、そのほうが便利だから、みたいなことをテレビかなんかで話していて、「すごいな〜この人」と思ったことがあったのだが、平野レミまでいくと、そーゆーことやっても財布が買えない人とは誰も思わないし、ダサいと誰も思わないんじゃないか。みたいな。

結局のところ、自分に自信がなければ、そういうことってやれないのである。

ラブリー。である。

その日は、院長先生からいろいろなお話も伺い、とても楽しかった。「先に帰るね」とぺぺろみあさんにメールしてたのに結局長居で、彼女たちが帰りのバスを待っているところを、院長先生と通り過ぎ、車を駐車しているところまでお見送りしていただいた。たぶん、手違いで会計がやたら遅くなったお詫びの気持ちだったのだろうけれど、院長先生、そこまでしなくていーから〜〜。

院長先生のことに終始してしまったが、新病院建設の話題をちょっとすると、周辺の用地取得がすみ、来年着工予定とのこと。今ある病院の前に建つのだとか。年号だって平成の次になるのだろうし、昭和の香りは遠い記憶へと移りゆく。(でも、どこかに「池田ワールド」を感じさせてほしいものだ。どの病院でも変わらない雰囲気では、先生や医療スタッフの顔も見えにくくなると、私は思っている。どこかに、「人」としての医療者を感じるものがなければ。画一的では人は見えない。)

(2017年10月15日:あんまり文章変だったので、加筆訂正しました〜〜。)

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