Archive for 2013年03月06日(水)

老老介護

老紳士さんからまたまたお電話をいただいた。10月に私のテレパシーでお電話いただいてから数ヶ月ぶりのお声だ。

「展覧会の時期なのですが」と老紳士さんは仰った。

1年前のこの時期、老紳士さんの奥様が出品される展覧会を拝見しに行った。そのときの話をブログに載せたかったけれど、プライバシーにかかわるかもととどまった。

ご主人の老紳士さんとは、患者支援の会でお知り合いになってから何度かお会いしているが、同じ病気で同じ趣味の奥様とは、その展覧会で初めてお会いし、それきりお会いする機会を得ていない。

奥様は目鼻立ちの整った美しい方で、気品を備えていた。少しだけお話しし、どうしてそう言われたか忘れたけれど「良いこと言うわね」と私の肩をポンと叩いて、どこか江戸っ子的な活発さも垣間見せた。気難しい方かと思っていたが、まったくそうではなかった。

この日、電話をくださった理由は、今年は寒さも厳しく風邪を引きそうなので出品しなかった、とわざわざご連絡くださったのである。

老紳士さんといろいろお話ししているうち、老紳士さんご自身が夏からお体を悪くしているのが分かった。車で銀座でもどこでもいらっしゃっていたのに、それもかなわないという。

老紳士さんは驚くほど献身的に奥様を介護されている。いつも息抜きしたらどうかと申し上げるが「そうですよね」と仰るものの、そうはされていないようだった。

「介護サービスを上手に利用してはいかがですか? 毎日、ご飯の支度するのも大変でしょう。」

「そうですよね。少し、お願いはしているのです。でも、そういうのを使うのが後ろめたくて。」

「そんなことありませんよ。きちんと使って少し休憩しなければ、生活が続かないですよ。」

「そうですよね。わかりました。」

本当にわかってくれたかどうか。

でも、以前お話ししたことで、この日の会話から推測するに、1つだけわかってくれていたことはあった。かなりシビアな話だったんだけれど。どんなことかというと、悪性で再発がわかった奥様に対して、米村先生は半年後の診察予約を入れ、手術する時期についてはなぜか明言されなかったということについて。

言うべきかどうか迷ったのだが、私は言ってしまった。「ご高齢だし、かなり痩せてもいるし、手術は体力が持たないのでは? 手術したら痛いし苦しいんです。そんな思いをするよりも、今の穏やかな時間を二人で大切にしたほうが良いと私は思います。」

あのとき、老紳士さんは驚いた目をされた。言い過ぎたかなと思った。

穏やかな顔に戻った老紳士さんは、それからはっきりした声で「そうですよね」と仰った。

マーライオン

先週半ば、チョー・ヘイソク氏が久しぶりにお出ましになられた。

寄せては引く腹痛がどんどん増して来る。体を丸めてこらえているうち、吐いた。

吐くと少しはラクになるような気がする。と思ったら、さらにゴボっと来て吐いた。まるで弧を描くような勢いは、マーライオンみたいだ。。。

と例えてみても、マーライオンの現物を見たときは1滴も吐いていなかった。あの、美しくライトアップされて吐き出す姿は写真だけなのに、「みたい」ってねえ。

いつものように、病院に行くべきかどうか悩む。こんな寒い夜中に、それもこんな痛くて、這うように出かけられるのか。とりあえず朝まで様子をみよう。。。

痛すぎるお腹を我慢して明け方までは記憶があるが、いつの間にか眠っていた。目覚めたら痛みは消えていた。その後も便が出なかったので心配したけれど、2日後に出た。

そうそう、マーライオンは今また勢い良く水を吐いているらしい。こんなことにならなければ、吐いてるかどうかなんて気にもとめないというか、存在すら忘れてたわ。

  • ピョントル1世

    2013年03月06日(水)22:30

    返信

    こんばんは・・・・

    マーライオンにMr.ヘイソク・・・・
    どんな展開が待っているのかと思えば・・・

    辛い経験を明るく(?)語るとは素晴らしい(^^;)
    もう大丈夫なのでしょうか?
    少しでも楽になりますように!!

    • pom

      2013年03月07日(木)23:17

      返信

      ピョントルさん、こんばんみ〜。
      そのときはかなり苦しいですが、終わっちゃえば「日常のひとこま」って感じで
      全然ヘーキなんですよ。
      ご心配ありがとうございました。
      いまなんか、ガシガシ食べてますもんね〜。
      って、もう少し、摂生しないといけないですね(^^;

  • ピョントル1世

    3月 6th, 2013

    返信

    こんばんは・・・・

    マーライオンにMr.ヘイソク・・・・
    どんな展開が待っているのかと思えば・・・

    辛い経験を明るく(?)語るとは素晴らしい(^^;)
    もう大丈夫なのでしょうか?
    少しでも楽になりますように!!

    • pom

      3月 7th, 2013

      返信

      ピョントルさん、こんばんみ〜。
      そのときはかなり苦しいですが、終わっちゃえば「日常のひとこま」って感じで
      全然ヘーキなんですよ。
      ご心配ありがとうございました。
      いまなんか、ガシガシ食べてますもんね〜。
      って、もう少し、摂生しないといけないですね(^^;

M.Hさんの池田報告から

患者の家族として情報を送ってくださるM.Hさんから、先月末にメールを頂戴し、ブログに載せさせていただきたいと思いつつ、今日まで来てしまった。。。

 

予定どおり、23日に池田病院へ行ってきました。(略)受付では、色々な方言が飛びかっており、全国から集まっているんだと改めて感じました。

10時に来たものの、MRIを1時まで待ち、MRIが終わってからは、4時半の診察まで待ち。病院を出たのは5時でした。

私は子供を連れて10時~12時までいちご狩り。1時半~3時まで沼津漁港で食事。と待ち時間を有効に使い子供を飽きさせないように過ごしました。(略)

さて、診察結果はと言うと問題ないとの事で、待ち疲れや緊張から解放され、一安心。次回は腫瘍マーカーの結果発表とMRIの経過観察となりました。

 

待ち時間の使い方が素晴らしい! そこにフォーカスしてめちゃくちゃ弾けたムードでこのメールを紹介するつもりだった。のだけれど。

M.Hさんは、深刻な状況から脱していない患者さんやそのご家族の気持ちを考えると、弾けた感じは不快感を与えないかとご心配された。

M.Hさん自身、余裕でこどもを遊ばせていたわけではないらしい。検査結果が出るのをドキドキしすぎて「患者に寄り添い不安を共有と言うのが苦手と言うか」こどもを遊ばせることでなんとかドキドキ時間をやり過ごしたかったのだという。

ドキドキはこどもにも伝わったかもしれない。これまでの事情は小さい子だって理解している。ドキドキ父子でいちご狩りに没頭し、無理矢理「楽しいね」と言い合う姿が目に浮かぶ。

ではあるが、こどもと一緒に検診に来られた家族は、もしかしてM.Hさんたちが初めてではなかろうか。もちろん、こどもを待合室で待たせ続けるのは無理があり、何のアイデアもなく連れて来るのは良くないだろう。

しかし、このような形で連れて来られれば(車じゃないとダメだけど)、家族の思い出の一つにもなれるし、患者一人の事でなく家族皆で共有できる。

ウチなんかさ〜、忙しくて来られない夫とは「問題ないって」「あっそ」で終わりだもんね。一緒に会社をやっているから忙しさが分かっているし、私の分まで働いてくれと思うけれど、普通の家なら「仕事と私とどっちが大事なの?」くらい、心の中でつぶやきそうな気がする。

横道にそれるが、それにしても「あっそ」でなく、せめて「良かったね」くらい言ってほしいものである。家族は先生に実際にお会いしてお話を聞かない限り、気持ちが遠のくのだろう。あーあ、病気が分かったときに感じた「美しき家族愛」よ、いずこ。。。

話、戻ります。

というわけで、術後の経過観察は家族皆で来られたらステキだなと。それから、とくに付き添いの家族はあの待ち時間にうんざりだろうけれど、皆お互い様なのだから何かうまい方法で、ステキな時間に変えてはどう?

「予約時間は○時なのに」と思うけれど、もし予約時間どおりに診察するなら、時間に余裕を見なければいけないから、あれだけの人数は無理。それに、たとえば私は「何かあったら来て」と先生から言われている。もし異変を感じて地元病院では分からなかったら、半年後の予約を待たずとも診ていただけるわけで、安心だ。だいたい、多忙なのにわざわざ関西から来てくださるんですよ! それだけでもすごい。

あの待ち時間は、「安心」との引き換えなのだと思う。