クリスティーン

本日の一本@割と有名だ、と私は思う映画。
『クリスティーン』。
1983年のお米の国の作品。
スティーブン・キング御大の、同名小説が原作。
ジャンルはホラー。
…………有名……よね? 一寸古い映画だけど、ご覧になられた方は多いよね?
ワタクシ自身、この映画の初見は大分昔ですが、有名な筈。……ちょっぴり、自信ないけど。
B級&Z級映画へのチャレンジゲージが尽きた訳ではなく、単に、面白そうなのが見当たらないから、久し振りにこの辺を、と借りてみた。いやー、久し振りに観た、クリスティーン。と言っても、本当に大分以前に観たので、結構色々を忘れてた。
──見るからに苛められっ子だなー、って感じの少年が手に入れた、普通は廃車にするレベルだと思います、って車@クリスティーン。
が、実は「彼女」は、ちょいと凶暴な意思を持っている車で…………、ってお話。
──御大原作のこの映画、ワタクシは、これっぽっちも怖いとは思いません(注:ワタクシ基準)。
車っていう、本来、意思なんか持ってる筈もない、無機質な物体が襲って来るってシチュエーションは、現実に起こったら怖いとは思いますが、この映画は怖くない。
炎上したままのクリスティーンが迫り来る&走り去ってくシーンは、とても印象深くて好きだけども、ガッコンガッコン車がぶつかるシーン観てると、「綺麗な車なのにーーー!!」って、車が傷む&勿体ないって意味の悲鳴を上げたくなる。
って言うか、この歳になって改めて観たら、この映画はホラーでなく、或る種の恋愛映画なんじゃなかろうか、とすら思ったかな。
行き過ぎた愛情を持ち主に注いでしまう、クリスティーンという名の、車な「彼女」の恋愛物語。……のような気が。
……車に、人間の道徳や倫理や正義は通用しないでしょ? 故に、唯単に、私を可愛がって愛してくれる、持ち主な「彼」との仲を引き裂く奴は許さないわー! ってノリで突き進んだだけなのよ、ってなことのような。
…………うん、そうやって考えると、中々な悲恋だな。
殺したる! って決意してる車に襲われる人間は堪ったもんじゃないけど。
それに、別の哀愁も感じてしまった。現代だからこそ感じる哀愁。
──この映画の冒頭シーンは、1958年の、アメリカ・デトロイトの自動車工場なのですよ。
当時は高級車だった(と思った)、クライスラー社のプリムス・フューリー@58年型=クリスティーンが、生産ラインから出来上がって来た所から話が始まるんですが、この時代は、アメリカの自動車産業も、デトロイトという車で栄えた街も、未だ未だ元気だった時代。
日本で、「いつかはクラウン」ってCMで言われたトヨタ・クラウンが、未だ初期型だった頃。
が、クライスラーは、去年には、日本で言う処の会社再生法みたいなの申請しちゃって、一旦は倒産しちゃって。
……ああ、時の流れは無情だ。諸行無常だ。今は遠き、華やかな車の時代。
──何か、徐々に車離れが進んでるっぽい現代だと、この映画、ピンと来ない方もおられるような気もするなあ……。

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