レバノン

本日の一本@現在も、渋谷だったかで上映中な映画。
『レバノン』。
2009年の、イスラエル、フランス、イギリスの合同作品。
ジャンルは戦争映画。戦争映画ってぇか、個人的には反戦映画だと思う。
2009年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得してるそうな。
でも! DVDのレーベルはプライムウェーブ。売ってるのは我等がアルバトロス。
……至極真面目な映画ですよ?(笑) 半月近く前にレンタル開始になったんだけども、ずっとレンタル中で、やっと借りられた。予告編見掛けた時から、観たかったんだー、これ。
──1982年に起こったレバノン戦争──つっても、レバノン戦争って、1975~77年のレバノン内戦→シリア軍侵攻の延長線上にあるってぇか、その続きってぇか、そういう戦争なので、82年にいきなり勃発した戦争じゃないけど──での物語。
1982年6月6日、イスラエルがレバノンに侵攻した初日、前線に出撃させられた一両の戦車に乗り込んだ四名の戦車兵を中心にした話なのだけど、シーンの殆どが戦車の中&射撃兵が戦車のスコープ越しに見た光景で構成されてる、一寸異色な作品。
──戦争映画なんで、それも又当たり前ったら当たり前なんですが、鬱な映画。
観てると鬱になる映画と言うか、色んな意味で観る人を選ぶと言うか。
監督さんはイスラエルの方なんだけど、ご自身もお若い頃にレバノン戦争に従軍されてて(徴兵制度あるからね、あの国)、その経験を基に製作されたんだそうで。
あくまでもワタクシの個人的意見ですが、そういう絡みもある所為か、戦争映画ってよりは反戦映画な気がする。
で以て、そっちの立ち位置から観れば確かにリアリティあるのだろうけど、作中での主人公達の有様や展開は、現実には有り得ないことの筈で、「で? だから? 第一、有り得ないよね、そういう状況」って突っ込んじゃったら最後、首捻るしかない部分が多々。……と思うよ、私はね。
色々諸々、突っ込んじゃいけないのかもだけども。
現実に起こった出来事を題材にしているだけのフィクション、と言ってしまえばそれまでだけど、現実には有り得ない状況の中、戦車兵として有り得ないとしか思えないキャラ達の物語に、真実のリアリティを感じなさい、と言われても、少なくとも私は頷けないかなー。
意図的過ぎる作り方してある戦争映画に、戦争はこんなに悲惨です! と言われてもなー。
そこんトコ求めるなら、ドキュメンタリー観た方がいいだろうし。

地球爆破作戦

本日の一本@日本未公開映画じゃないよ。
『地球爆破作戦』。
1970年の、お米の国の作品。
ジャンルはSFだす。
某・ツ○ヤが、つまらなかったらレンタル代返す! って言ったから借りてみた(笑)。
──冷戦真っ直中のアメリカが舞台。1970年の作品なんで、多分作中でも冷戦真っ直中設定だと思う。
これ一台あれば、戦争に関することは何でもばっちりだせ! ってなノリのスーパー・コンピューター『コロッサス』を拵えてみたら、起動させたその日に、ソ連にも自分と同じシステム『ガーディアン』があることを嗅ぎ付けちゃった、制作した科学者達の予想よりも、ずーっとずーっと賢くて、何でも学習しちゃうぜー、なコロッサス君が、ガーディアン君と手に手を取って出した、「人間なんかペペペのペ」って結論に基づき、「お前達なんか何の問題も解決出来ない役立たずなんだから、僕達の言うこと聞きなさい」って暴れ始める話。
……ホントにこういう話だってば。
──何ちゅーか、最初から最後まで、機械なんか所詮機械じゃんかよー、って主張が透け見える人間様達が、コロッサス君達に振り回され続ける話のような。
まあ、無機質は無機質でしかないんだけどね。
Appleな病に犯されているワタクシなんぞは、Macさんは生きてるよ? とか思うこともあるけど、機械は所詮機械でしかなくて、けれど、コロッサス君とガーディアン君は、『所詮は機械』の域を脱してて、でも、やっぱり機械だから、彼等が出した「人間なんかペペペのペ」って結論に基づき取る行動も主張も、どうしようもなく機械的で、だけれども、反論の余地すら、(作中の)人間には上手く見付けられない、って辺り、とても素敵だわ、この映画。
邦題が、思いっきり内容を裏切ってる辺りは頂けないけれど。
別に、コロッサス君とガーディアン君は、地球爆破なんか企まないもん(笑)。
彼等の結論は、あくまで、「人間なんかペペペのペ」。
──個人的にはこういう映画、割と好きですが、「んーーー?」と思う方も多いかも知れないラストなので、どんな結末でもOKだ、って方ならイケるかな。

東京オリンピック 四十年記念ディレクターズカット版

本日の一本@公式記録ではないですが、日本映画史上、最も観客を動員したと言われてる、とっても有名な映画。
『東京オリンピック 四十年記念ディレクターズカット版』。
1965年、日本。監督は、市川崑監督。
ジャンルは、記録映画……でいいのかな。正直、ビミョーな処だと思うけど。
──1964年(昭和三十九年)、東京で行われた第十八回夏季オリンピックの記録映画。
……ほら、この手の映画──しかも、これだけ有名な映画って、ちょろっとずつ、TVとかで見掛けたりするじゃないですか。
で、何となく、観たような気になっちゃったりして(笑)。
でもまあ、一寸、改めてちゃんと観てみようかなー、と思って借りてみた。
公開当時、色々と物議を醸し出したって話は知ってましたが、うん、確かにこれは、純粋な記録映画ではないのかも。
記録映画って化けの皮を被った、純粋な映画かも。
…………何て言うんですかねー、色々が凄いと思ったなあ。
映画が凄いとか、市川崑監督が凄いとか言う以前に、東京オリンピックそのものが凄いと思ったって言うか。
当時は未だ、終戦から十九年しか経ってない訳で、1948年のロンドン大会なんて、日本、参加すら許して貰えなかったのに、何で、終戦から僅か十九年で、東洋で初めての夏季オリンピックが開けたのか、私、真面目に判らない。
そりゃ、神武景気とかあったかも知れないけどもさ。十九年ったら、生まれたばっかりの赤ちゃんが、そろそろ成人しようかって年月ではあるけどもさ。オリンピックなんて招致からして大変で、沖縄は未だ返して貰えてなかった頃なのに、東京オリンピックが開催出来たって、凄いと思うのよ。
東京オリンピックは本当に凄かったって、じー様やばー様達から聞いてたけど、本当に凄かったのね。
戦後間もない頃の日本って、逞しかったんだなあ(しみじみ)。
何処行っちゃったのかなあ、あの逞しさ。
──尚、映画そのものとしても、ワタクシ的にはお薦めかと。純粋(?)な意味での記録映画を求められる場合は、一寸アレかもだけど。

アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち

本日の一本@単館系だけど、上映はされたよ&今もされてる映画。
『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち』。
2008年の、アルゼンチンの作品。
ジャンルはドキュメンタリー。
本当は、劇場行って観たかったんですが、中々、都合や時間的折り合いが付かなかったので、12/22に発売になったDVDを、あまぞーんで予約しちゃいまして、23日に届いたので観た。
──約半世紀前、日本で言う処のアルゼンチンタンゴの黄金期を築かれたおじい様方や、お年を召されたお姉様方(笑)が一同に介し、2006年、アルゼンチンはブエノスアイレスで、タンゴの名曲集をレコーディングした&世界三大劇場の一つ、コロン劇場で一夜限りのコンサートを開いた際のドキュメンタリー映画。
参加されたマエストロの皆さんの中での最高齢は、当時、96歳の方だったそうな。
残念ながら、2010年現在では、お亡くなりになられてしまった方々が八名いらっしゃるそうで、故に現在では、既に再現不可能な演奏が収録されてるのだとか。
──人生の全てをタンゴに捧げた皆々様のインタビューと演奏で構成されてる映画なので、お好きでない方は手を伸ばさない類いの映画だと思うんですが、ワタクシは、この手合いは結構好きなんです。
アルゼンチンタンゴが好きだとか、良く聴くとか、そういうんじゃなく、それが己の人生の全て、ってタイプな方々の話が好きなのね。
で、期待した通り、そういうノリの人生送られて来た、大変チャーミングなおじい樣方と、情熱溢れるお姉様方が登場されてたので、ワタクシ的には大変満足で、個人的にはお薦めなんですが、音楽は、やっぱり好き嫌いがあると思うので、もし、興味を惹かれたら是非、って感じかな。
──演奏は素晴らしかったです。
ワタクシ、DVDやCDは、某ツ○ヤさんでのレンタルで済ませちゃうことが多いんですが、買って良かった。
実は、映画観る前に、勢いでCDの方も買っちゃったんだよねー、お布施代わりに、と思って(笑)。
って、あ、そうそう。
コロン劇場でのコンサートの幕開けの際に、司会(?)の方が、タンゴは、欧州の影響を受けないだったか、受け付けないだったか、ってなこと言ってたのが、一寸印象的だったなー。
プライドだぁね。

メガ・ピラニア

本日の一本@日本未公開映画……だと思う。思いたい。
『メガ・ピラニア』。
2010年の、お米の国の作品。
ジャンルはモンスターパニック。
発売&販売元は、我等がアルバトロス(笑顔でサムズアップ)。尚、アルバトロスさん曰く、関連キーワードは『お食事(人喰い含む)』。
或る意味、シュールなキーワード設定だな、アルバトロス。
──ストーリーはですね、遺伝子操作に失敗して、すんごくデカくなった&更にデカくなりつつあるピラニアの群れが襲ってくるよ、って話。
以上。
タイトルとジャンルが全てを物語ってるので、これ以上語っても仕方ないのではなかろうかと思うワタクシ。
──これ、アルバトロスの公式サイトで見掛けて以来、借りたくてうずうずしていたのですよ。でも、レンタル開始以来ずっと貸し出し中で、先週末、やっと借りられたの。
で、うきうき観た。
……うん、予想に違わずB級映画だった。でも、お笑い映画って意味では素敵だった(笑)。
だってね、先ず、ピラニアが巨大化した理由からして、ひと味違うのね。
遺伝子操作に失敗→生物巨大化ってパターン辿る話にはありがちな、政府の秘密実験ー、とか、軍の陰謀ー、とか、巨大工場の違法排水がー、とかじゃなくて、お米の国の科学者達が、舞台のベネゼエラの食料事情改善の為に遺伝子弄くったら失敗しちゃったっぽい、ってのが理由なの。
んで、ヒロイン役の女性科学者が、はっきり言って、余りオツムが宜しくないの(笑)。
ジャングルの奥で何かを企んでたらしいベネゼエラ国軍の大佐達に、難癖付けられて色々問い詰められた際には、「失敗は一度だけよ!」とか叫ぶし。
主人公の兄ちゃんに、「アメリカ大使館に行こう」って言われてんのに、大量破壊兵器でも撃ち込まないと、オリノコ川河口に向かってる巨大ピラニアの群れは止められないのよ! って訴えつつも、「海岸に行くの!」と言って聞かないし。
放っとけばクジラよりもデカくなるし、内臓なんか本来の数から六つも増えてるし、心臓は二つあるし、勝手に繁殖するし、成長スピード尋常じゃないし、って言っときながら、「ピラニアだから、海に出れば死滅する!」とか主張するのよ。
もうね、その一回の失敗が致命的だろう? 君が一人で海岸に行ってミサイルが撃ち込める訳がないだろう? そこまで変異しちゃってるのに、海水では生きられないって断言する根拠は何? と片っ端から突っ込みたくて仕方なかった。
主人公の兄ちゃんも、事件調査員とは名ばかりの特殊部隊員(多分、シールズ)なのに、何で現地にナイフ一丁で乗り込むんだ、貴様、と言いたくなる人で、事態の解決方法も、顎外れるような、「それ、多分、解決出来てない」ってなノリで、これだけで終わってれば、「あーー…………」な映画なのだけれど。
この映画、小さめなクジラくらいのデカさのピラニアが、水面より華麗なジャンプを決めた後、ビルっぽい建物とかマンションっぽい建物とかホテルっぽい建物とかにグッサリ刺さって、尾ひれを震わせつつ、ピチピチピチピチしてるシーンが何ヶ所かあるの。
灯台(?)の先端に刺さっちゃって、ピチピチピチピチしてるシーンもあるの。
も、とっても素敵。有り得ない絵面が素敵。似非爽やかに笑える(笑顔全開)。
その、合計しても数分にも満たないだろうシーンに、きっと、この映画の価値はある!(笑)
その為だけに、人生に於ける貴重な一時間半を捧げる価値もある! ……多分。
……いや、うん、でも、全編93分の全てを観なくてもいい気もするな……(笑)。
個人的には、メガ・ピラニアよりも、『メガ・シャークvsジャイアント・オクトパス』の方が面白かったし。
やっぱりねー、ゴールデンゲートブリッヂ噛み砕くサメのインパクトには、中々勝てないと思うのよねー(笑)。