人が住む町に住んでいる。去年の年末から住んでいるこの町では様々な事を思い出させてくれる。
もう十年以上、事務所兼自宅という状態から比較的都市部に賃貸物件を探していた。夜中でも緊急車両がサイレンを鳴らして走り去り、その音が途切れる事がないような場所だ。
今住む町では穏やかな空気に満ちている。ちょっとした作業の合間に畳敷きにごろんと横になり、窓から見える空に飛ぶ鳥、吹く風。朝のにおい、ふらりと外に出るときの町のにおい。人間が暮らしているという事。そんな当たり前の事がひどく懐かしい。人はこの辺の事を手放してはいけないんだろうな。