2003年の夏にみたもの

寒くておかしな夏はようやく辻褄を合わせようとして、扇風機もぶんぶん頑張っているわけです。その寒かったお盆のころに出かけてきました。


忘れないうちに書いておこう。世間様のお盆休みの時期に芝居を一つと展覧会を一つ見た。芝居は以前から興味があったキャラメルボックス。出し物は「ナツヤスミ語辞典」という十何年か前に上演したものの久しぶりの再演とのこと。いくつになってもなんだかきゅんとして懐かしい物語ってものはあり、そういう方面の普遍性を感じる舞台だった。期待を裏切らない楽しさだったけれど、そういう物語って、でも若干気恥ずかしさを感じる部分があったりするのも毎度のこと。舞台は観客をその世界に引き込んでしまい、あの年頃は馬鹿なことで喜んでいたなあという「現在」の認識を持ちながら中学生時代(その舞台の主人公は中学生だった)にスリップしてしまうわけで、そりゃまあ恥ずかしいわけだ。主人公も実年齢は知らないけれど可愛くてよかったな。

展覧会は新宿東郷青児美術館の「ルノーコレクション フランス現代美術展」。馴染みの新宿で他の予定とも絡め易いのでよく行く美術館なのだけれど、そのおかげでたまに招待券をもらう。今回もそれで、加えて興味のある内容だったのでほいほいと行ってみた。同じ会場で行われた「(現代日本の)25人の絵画展」のことを以前書いたけれど、今回のものはそれぞれの作品に「力」が漲っていて実に面白かった。現代美術といっても1950年代の作品などもあったりしたからかな。また、ルノーという自動車会社、フランスというお国柄にまで想像が膨らんだ。
不思議な体験をしたのはグドムンドゥル ・エロの描く風景画。それは実際の風景ではなく、車の部品が地平線の果てまで一面に広がり続く景色だ。モノトーンのものと、同じテーマで色彩豊かなものがまるで対になって向い合せに展示してあり、ぼくはその真ん中に立って長い時間交互に見返していた。ひどく懐かしくてお腹が鳴った。あり得ない(だろう)景色を知っていて、風を憶えていて、匂いを感じていた不思議。空は晴れて何も飛ばない。

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