ボールパークへ
プロ野球の混乱については楽観していると書いて来た。基本的に選手を含めた運営・興行の関係者の方々を信頼しているからだ。特にこの時期にコミッショナーが根来さんであったこと、選手会長が古田であったことは本当に運が良かったと、嵐が過ぎてみればなおさらに思うのではないかと想像する。
この騒動の最中のコミッショナーを指して何もしないお飾りとか読売の手先とか揶揄する声が出たが、影で精力的に動いておられた様子がときどき見え隠れしたことや、この件について表立って働きかけるのはここぞというときの進退をかけた一撃だけになるだろうと、それで十分とぼくも考えていた。
できれば辞職などということにならず、この後の本当の仕事(根本からの改善)で手腕を発揮してもらいたいものだと願う。
9月16日にコミッショナーから出された提言は以下に掲載(自分用の保存でもある)しておこうとおもう。YOLやサンスポなどから引用したもの。
【根来コミッショナーの見解】
◎私の見解 〔根来泰周〕
多くを語る必要もないほど現下のプロ野球球界が抱える問題が極めて多い。
その重要な問題の一つは、各球団のいわゆる赤字収支である。この問題は、特にパ・リーグにおいては、1949年の2リーグ分裂時からその萌芽があり、各般の関係者の努力にもかかわらずその後改められることなく今日に至った。
そして今般の近鉄球団とオリックス球団の経営統合に触発される形で一挙にその抜本的改善の声が上がったのである。しかし今に至って頓服的良薬があるはずがなく将来展望を持ちつつ漸進的な方法を以て改善する他はない。そして野球組織内の検討ではその論理が優先し、偏狭な見地からのものに終わる可能性もあることから、プロ野球に理解があり、一般社会の常識、経済、法律に通じた有識者の考え方を大幅に取り容れ、よりよき案を策定し、実行することが肝要であろう。以上の考慮に立って次のような提案をする。
なおこの案を提示するについていかなる権限に基づくものなのか、あるいは選手側との折衝過程にこのような管理権経営権に属することを提案するのが妥当であるかどうかという疑問点があると思う。第1点については、なんらの権限のないことを認めざるを得ないが、現下のプロ球界の未曾有の混乱を見るとき何らかの提案をし、その収束を図るべきものと考えた。当然、自己の進退を含んで考慮した結果である。第2に、このような事項は、球団側の管理権経営権に属することであり、スト前夜というべき時期に提案する性格のものではないのではないかという点についてはこれを肯認するが、一方においてこのような改革は、三位一体すなわち球団側、選手側、野球機構が一体となって取り組むべきことであり、選手側の協力なくして成就するものでないから敢えてこの時期に、その協力を得る意味で提示したものである。
加えて申せば、今回の件の経緯に鑑み、セ、パ連盟構成球団内の意思の疎通を図り密接な連携を通じて共存共栄の方途を模索すること、球団と所属選手間のコミュニケーションを活発にし、特に球団から選手に対し、球団の経営状況等を説明し、選手もまたこれらを理解することを望むものである。
いずれにせよ今日の事態を招いたのは、社会経済情勢の急激な変化によることもあるが、経営者、選手、私を含め野球機構等関係者の責任であり、他に転嫁できるものではない。要するに一億総懺悔の立場からよりよき制度運営を求めて改善を図るべきで今ストに突入することがあれば、球団がさらに疲弊し、ついには解散、倒産に至ることもあり得るであろう。一層の自重を求めるものである。
以上
◎新規提案事項
1 新規加入球団審査委員会(仮称)
日本野球機構の諮問に応じて新規加入を申請している球団についてその可否を審査する。
委員は、法律、経済、経営などの専門家、プロ野球OBなど7人程度で構成する。
委員会に新規加入申請球団関係者、既加入球団関係者、同球団所属選手等からの意見を聴取し、新規加入申請球団の財務内容等を調査する権限を与える。
2 プロ野球有識者会議(仮称)
プロ野球のみならず、法律、経済、経営全般に通じた有識者を以て構成し、オーナー会議の諮問に応じて答申する。
■審議事項(例)
公益法人たる野球機構とは別に営利を目的とする株式会社組織を設けることの可否
リーグ構成のあるべき姿の検討
国際交流試合の在り方の検討
加盟料等の検討
プロ、アマのあり方についての検討
選手OBの再就職先確保の検討
野球協約の根本的改正についての検討
選手に関する諸制度、参稼報酬、ドラフト、FA制度等の検討
小委員会の設置
必要に応じて専門小委員会を設け関係者等の意見を聴取する権限を与える。
3 加盟料について
当面、加盟料については、加盟の際の預り金として野球機構に保管する。その金額は、当該球団が10年以内にプロ野球から撤退することがあった場合の所属選手の1年分相当の参稼報酬の合算額とする。
さらに加入に際し、経費等に充てる必要から若干の金員を加算する 。
なお既設球団についても脱退する場合の諸経費に充てるための出捐を要するとするか否か、要するとした場合その額は如何とすべきか、加盟料を含めこの種制度の確定については有識者会議の答申を俟って行う。
ストはやるしかなかっただろうな。あの内容では。敢えて言えばどちらが悪いということではない。双方のビジョンがそもそも違う。球団所有会社の利益を重視するのもビジョンだろうし、選手の雇用を守るのもそう。それをもとに新しいプロ野球の形を創造して行こうという気持ちはどちらにもあるのだろう。まあ、ぼくは選手会を支持したいけどね。
コミッショナーにはお疲れさまでしたと言いたい。ただ何も言わずに保身に走ることだってできたはずなんだから。
でもまあ、何とかいい形になるでしょう。楽しい野球を待っているよ。