都内に住んでそこそこ長くなるけれど、移動に使うのはメトロかJRがほとんどだった。
このところ何かとバスに乗る機会が増えた。そうしてみると公共交通機関の一つであることが改めて良くわかる。
変なイメージが自分の中に付いていて、なんとなくもっとルーズな乗り物だと思い込んでいたんだ。子供の頃は毎日バス通学していたのにね。
夜のバスの車窓も良い感じ。ちょっと不思議なことの一つは都内のバスって均一料金のものが多いと思うが(実家の方のバスは走行距離による料金)、それでも一駅二駅乗って降りて行く人が結構いるんだね。イナカモンの感覚ではそのくらいの距離歩いちゃうんだよな。今も若い二人連れが談笑しながら乗ってきたと思ったらもう降りて行った。肩を並べての喋り歩きもいいもんだよ。
人間によく似ている別の生き物。通常ライオンがヒョウに恋愛感情を持たないように彼も人類のある個体とそういうことにはならない。ごく当たり前のこととして(ライオンとヒョウのように。またはヒトがゴリラを見る時のように)交尾に至るようなプロセスとしての恋愛感情は欠落している。それはお互いに。
よく似ているものだから、若い頃は事故のようにそういうことも起こってしまった。交わっても決して愛と言われているような感情には至らないものだったが。
ただこれから先には事故すら起こりえない。人類的に言うともう造形として若くないし、彼と同種の生き物はほとんど存在しないと思われる。
そう思い至ると数十年のほとんどの出来事につじつまが合うような気がしたのだった。
ところがある日、いつものように夜中まで仕事をして気晴らしにとコンビニに向かう道の途中、一人英語で話しながら歩いてくる若い女性とすれ違う。その人は独り言を言っているように見えたけれども多分イヤホンマイクを使い電話をかけていたのだろう。何だか開放的な雰囲気がして夜道の中で彼女の周りがふわっと明るく浮かんでいるように見えた…
…っていうような話だったと思うのだけれど、何だっけ、これ。