ウェブ方面の仕事が増えて来たこともあり、しばらく前から表示確認のためのWindows環境が必要になっていたのは確かなのだけれども、時々ソフマップなどへ足を運んでは中古相場を眺め、機会をうかがいつつもなんとかなるさとやり過ごして来てしまっていた。
ところが先日、なかなかお得(そう)なマシンを見つけて即買い。Windowsデビューとなったわけ。日立のFLORAってマシンで普通は業務用に出荷しているアウトレット品なのだそうだ。Celeron® D-2.66GHzのCPUで、グラフィック性能とハードディスクは物足りないもののオフィスも付いて5万円だった。
持ち帰りセッティングしてMacintoshのモニタの余っている一系統に繋ぎ電源を入れた。へぇ、電源の入れ方はMacintoshと同じなんだ、と思いつつよくよく考えればMacintoshはもともとキーボードの電源ボタンを使っていたわけで、Macintoshの方がWindows方式に合わせたのね。
最初に入れたソフトはiTunes(笑)。別にこのマシンでiTMSを使うわけではないのだけれどもなんとなく。様々適当に設定しながらキーボード・マウスの感触も確かめる。それぞれ付属していた純正品なのだけれども、キーボードのタッチは悪くない。マウスはごく普通なのかな。Macintoshの繊細な感触に慣れているとひどく無骨な感じはするけれども。自分のマシンとして購入したのは始めてだけれども、お客さんのWIN機のインターネット設定をいきなりやらされたり、友達のを触らせてもらったりしたことはあるので、設定もだいたいはスムーズに終わった(ような気がする)。一つだけ手こずったのは共有プリンタの設定。結局どうにもならなくてウェブ検索して勉強しつつ設定した。なるほどこの辺がWindows特有の言い回しなのかと納得しながら。
これで一通り自分の用途には十分な状態になったのだけれども、新しいおもちゃが目の前にあればあれこれやってみたくもなる。デスクトップピクチャを変えてみたりいくつかソフトを落としてインストールしてみたり。そうすると分からないことがどんどん出てくる。たとえば基本的なところでは、かなと英数の切り替えはどうするんだろうなんてところからわからない。Macintoshなら問答無用でコマンド+スペースなのにな。まあ、そういうことを自分勝手に応用を利かせていくのも面白い。
確定申告等にも利用できるかもしれないし、まあお買い得だったんじゃないかしらん。
若干の問題を抱えながらもiTMSJapanが始まったのは何を置いても目出たい。すでに普段なら3ヶ月で使うほどのCD代をつぎ込んでしまったこと。
他方、P2Pという技術(概念?)を知った時はひっくり返った。コンピュータを使い始めてそれほど長い月日が経った訳ではないのだけれども、少なくとも3回ひっくり返っている。友達の部屋で動くMacintoshを見て、こりゃいかんと思ったとき(これは正確には使用前)。次はまる2日かかってインターネットに接続できた時。それから、P2Pに出会った。
確かに著作者の権利を無視したダウンロードは絶対に駄目。でも世界中のコンピュータの共有フォルダが繋がって人々の叡智である様々な資産を必要な人が必要な時に引いてくることが出来る。全ての価値は一度壊れて、再構築される。これこそがコンピュータ…インターネット革命なのではないか。これで世界はいくらかは良くなっていくんじゃないか。ちょっと大仰だけれども、ざっくばらんにそう感じた。一部ではマイナス面だけが強調されているけれども、この「革命」の次を想像できないモノは終わっていくに違いない。
さてiTMS。「われわれは違法ダウンロードと戦う。訴えるつもりも、無視するつもりもない。競争するつもりだ」スティーブ・ジョブスの歴史に残るとも言える名言とともに始まったこのサービスの素晴らしさは人々を信頼するところから始めているということと、Appleらしく隅々までそっと気が配られていて使ってみると本当に簡単で楽しい、そんなユニークなシステムといえること。著作物には適正な価値が設定される。「提案」というような形で最初の価格は決められているけれども、それを所有したいユーザは自分にとって価値があるから手に入れたいと思う訳で、それは著作者に対価が正しく届くことで完結する。決してこそこそとタダで落としてきたりすることでは人は満たされないのだ。また、他方で著作者や管理会社、サービス提供会社の主張や利益が加味されてくる。そうして時間をかけて適正な価格は自然に決まっていくのだろうと思う。
先に行ったようにP2Pは素晴らしい技術だ。それが正しく活用されるためにもiTMSのようなサービスが堂々と在るということは大いに役立つだろうと考える。iTMSだけではなく、他の分野でもそれは起こってくるだろう。
「著作者の権利を無視したダウンロードは駄目」「価値は一度壊される」と書いたけれども、夜中に心から『ワシントン広場の夜は更けて』を聴きたくなって、P2Pソフトを使いダウンロードしたことがある。また、廃盤になってしまっていたり、日本では手に入れにくいものを探したこともある。それを見つけて聴くことが出来た時には非常に嬉しかった。ただ、こういうものに対価を手渡す仕組みがあったらもっと素晴らしいと感じた。
音楽だけでなく様々なファイルを例えばある非営利団体が一元管理するのが良いのかというとそうではないと思う。分散しているからこそ自由な価値の創造もあるのではないか。これから10年で何がどう変わっていくのか、そういうことに何らかの形で関わっていくことが出来るか。
とりあえず何か「ご祝儀」に一曲と思っていろいろ検索したり試聴したり(本当にいつも行っているCD屋さんにいるのと同じような感覚になれるのも素晴らしいね)してみたのだけれども、結局はじめに買った曲は単曲ではなく、アルバムでした。中学生の頃買って、LPのアルバムとしては持っているもの。実家のレコード棚に今は眠っているアルバムの一つ。一時期CD化されていたらしいのだけれども、今は出回っていない。そんなアルバムを思いがけず見つけてしまった。加藤和彦の「それから先のことは…」。
中学生にしてはちょっとませたアルバムだったのかもしれない。ラジオで収録曲の「シンガプーラ」を聴いて、その曲の向こうに見える風景にある大気や水分が一気に体に満ちるのを感じた。するとすぐにアルバムも欲しくなっちゃったんだと思う。北山修さんやフォークル繋がりということもあったのかもしれない。または耳のどこかに残っていた「タイムマシンにおねがい」とか…、そういういろいろな欠片が偶然組み合わさったということもあった。
オーディオなんてものに少し首を突っ込み始めた頃でもあり、親の臑をかじったりバイトしたりして買ったステレオで聴いたそのアルバムは少なからずショックだった。ジャケットからしてその加藤和彦さんのいでたちに目を見張った。今見てもカッコいいよね。聞こえてきた音楽もそう。聴いたことのない詩に、一度で気に入ってしまう曲がどれも付いていた。東インド会社とか、タヒチとかそのコトバと響き。そのずっと後にゴーギャンが好きになったことと無関係ではなかったとさえ思う。そこで種は撒かれていたのかもしれないなんて。「フランスベッドにあの子とGEキッチンあれば 後はどうにかなって行くでしょう(キッチン&ベッド)」なんてのは、まんま今の自分のベースじゃん。個人的に知っている人は笑うだろうな。そうやって「女の子」とのこととか「おしゃれ」っていうものとかを少し先の憧れとして溜め込んでいたのだろう。
二十年くらい前に家を出た後は割合身軽な引っ越しを繰り返し、時々は次にこのアルバムを聴けるのは何時だろうと思い出していた。LPからデータに起こすサービス等もあると知り、頼んでみようかとも思ったりした。でも忙しさに流されてしまい今まで…。こんな形で最高の再会ができるなんて思ってもいなかった。
Love iTunes. Love Apple!
お祭りだからさ、笑っちゃうんだけれども、8/4の10時に自分の事務所の近くでジョブスが重大な事を話し始めると知ったらいても立ってもいられなくて自転車を飛ばしたのですよ。東京国際フォーラムに9:45。招待状を掲げて会場入りする人たちの列があり、そりゃあまあホールAなんていう5000人は入るという容れ物を押さえたのだから招待客も半端じゃないでしょう。それだけの人数がいればドタキャンもありなんと、しばしうろうろしてみるもその気配なし。諦めて近くのアップルストア銀座へ。リアルタイムでお祭りに参加できるかなと思って行ってみたら、今日に限って11:00開店との貼り紙。なるほど、iTMSも11:00開店かとここで悟る。状況がそうなった以上、長居は無用。事務所に戻ってMacの前に陣取るが吉。かくしてリロードを繰り返す事数十分。無事開店のその刻は来たのでした。万歳。
最初の数時間は不安定で心配になり、次には品揃えで心配になった。でもそれは多分問題ない。とにかく待ち続けた2年以上は0点。ともあれ始まった今は30点でも、これからいくらでも積み上げられる。0のままだったらいつまでたっても0なんだから。
そんな風にバタバタしていたものだから仕事にも若干影響が出るし困ったものだ。そんな合間を縫って最初に買った曲は何かというのは次のエントリに譲るとして、30点と言ったのは現状の自分としてはという事。現在の自分のライブラリからミュージックストアに飛ぶ事が出来る。例えばiTunesの自分のライブラリのBob Dylanの“A”という曲があるとしたらその列の項目のそれぞれに矢印が付いているので、それをクリックするだけでiTMSの中の関連する「棚」の前に即座に連れて行ってくれるという仕組みだ。そうやってみるとぼくのライブラリが素頓狂なのか、自分のライブラリから飛べるアーティストは2、3割しかいなかった。そういうわけでこれからに期待、なのだけれども実はぼくにとってはすでに100点と言ってもよくなっちゃった。(つづく)
あちらこちらのサイトがざわざわし始めている。8月4日にはフォーラムでスペシャルイベントが開かれるそうだ(プレス限定)。お宝さんのところによればSteve Jobsが2年ぶりに日本の公の場に登場する可能性も高そうだ。
長かったなあ。Appleに待たされる事は慣れてしまっているけれども、ようやくiTMSが始まる事は間違いないのだろう。後はその内容がどうなるのか。ここが重要。心して待て。はぁはぁ。
加えてiTMS以外の発表もありそうとのこと。うーん、近所だしなあ、行っちゃおうかな、フォーラム。当然中には入れないけれども、PowerBookもって行けば情報はリアルタイムに入るだろうし。
真打ち登場と行った所だろうか。モリサワが“モリサワパスポート”なるサービスを開始するとのこと。要はフォントワークスの“LETS”の二番煎じ。料金はさすがに強気でLETSの倍くらいする。
OS Xへの移行を促すには確かに決め手になるのだろうなあとは思う。でもこれでOS Xでもモリサワが標準なんてことになってしまうのだったら嫌だなあ。