学生の頃帰り道小田急線でよく寝過ごした。たいしたことをしていた訳ではないのに妙に眠くて熟睡していたものだ。とんでもなく乗り過ごしてしまったことも何回かあるけれども、たいていは降りるべき駅を少し過ぎたあたりで目が覚める。後数秒早く目覚めていれば何てことは無かったのに。
隣の駅から折り返して帰って来る、夜も更けた人気の無い小さな駅の風景。夕べ夢のように同じ風景の中にいた。
実家から事務所へ通うことになったこの数日感じていることがある。改めて見回すとこの町はなんと美しい素敵な町だったのだろう。大地があり大気がやさしく充ち、花が咲く町。人と自然が多少の諍いはあっても、根っこのところでは手をつなぎ続けていることを強く感じる。思わぬ巡り合わせでこういう事態になってしまったことを難しく考えていたのだけれども、この年回りでこういう機会を得たことは僕にとってよかったのかもしれないな。
そういうわけで小田急線を含む往復の4時間が一日の睡眠時間。毎日通っているわけではないから平均すれば一日3時間くらい?なーんだ今までよりも眠れてるじゃん。意外に体調がいい訳だ。
何十年ぶりかで寝過ごした隣の駅のベンチに座りながら、あぁ帰って来たんだなと実感できた。