吉田拓郎と流星バンド

気持ちのよい秋の夜に贅沢な編成のバンドで長年割合好きだった歌手の歌を聴く。それが良くないわけがない。事実悪くないコンサートだったし、懐かしさもありしみじみと楽しめた。
吉田拓郎の東京国際フォーラムでのコンサートに行ってきた。80年代には割合会場に足を運んだものだ。今回は5,6年ぶりくらいになるのかな。ひょんなことからチケットの購入を依頼され、これも何かの縁と久しぶりに行ってみることにした。
達者なミュージシャンたちによる大編成のバンド。それを瀬尾一三という日本を代表するような編曲家が指揮をする。照明装置の見事さと相まって(華美な方向ではなく充実したという意味で)豪華でした。流石という印象のクリアかつシャープな音。拓郎本人がそう言ったという通り、こういうビッグバンドで歌う舞台を望んでいたのでしょう。歌い方・声質もそれに合わせたのかとてもクリアに聞こえた。いや、そういう歌唱に変化していたからこそそういう編成を選択したのだろうか。


最初に奥歯にモノが挟まったような言い方をしたのは、心底からノルことはできなかったから。
見た目から入っちゃうんだよね。目に入ってくるモノから感じ取ってイメージを構築する部分がとても多い。音楽は広く浅く様々聴くけれども、僕は本来音楽的な人間じゃあないんだろうな。端から「指揮」ってさ、え??あの拓郎のコンサートで?って思っちゃったんだ。瀬尾氏がさかんに腕を振り実力者揃いのミュージシャンは練習の成果を見せる。編成の大きさから指揮者が必要だったという事も判る。それはそれでいいんだけれども、これでは誰かがアドリブで突っ走るような事は起こりえない。そこまで行かなくても個々のミュージシャンの自然なノリが織りなしてバンドの色や味って出てくるものでしょ。いや、今までだっていい加減そうなフリをしていてもかなり緻密なリハーサルを繰り返していたのだとは思う。ただミュージシャンが舞台で指揮者に首根っこを掴まれているようなことはなかった。実際にそうなのかどうかよりも指揮者がいて譜面または練習通りのきちんとした演奏をしているんだという「絵」が目に入っちゃうともう駄目(ダメなワタシ)。今回ほとんど「ノッて立ち上がる」ということがなかった。その方が前の人たちが盾になってくれて音自体に集中する事ができたから。また、そうすると確かにかなり「良い音」である事は確認できたんだ。後半に入ってようやくこのバンドの良さのようなものも幾つも発見する事ができたし、このバンドならではのピタッとフィットしている曲もあって、そういう曲の最中はカッコいいバンドだなーと(節操ありません)。
些末な事だけれども、客が立つ、座るということもそう。みんなもうネットとかで曲順を知っているのでしょう。また、今日が最終公演であることから、何回目かというコアなファンも多かったのかもしれない。曲が始まる前にすでに「立つ曲」か「座る曲」かが判明するみたい。ほんのちょっと異様。そういういろいろな事がひとつのしこりのように違和感となって最後まで完全に消えることはなかった。今週ほとんど眠る時間がなかったくらい忙しかった事とか、気にかかる事を引きずってしまっているこの頃だった事も関係していたのかも。
これも目に入って来るという類いのものだけれども、振り付けが付いている曲もあった。もう、べっくら。時代は変わるんだなあ。MLBのセブンスイニングストレッチに例えていたのは、それはちょっと違うんじゃない?あれは本当に楽しく自由なものだよ。前からたとえば「この指とまれ」という曲に自然発生的なポーズが付いていたというような事はあったけれども、そーゆーのに揃わされたくはないの、わざわざ「音楽」を聴きに行って。それは楽しい好きな曲だから一応立って聴いたけれどもさ。それ以外は今日に限っては座ってじっくり聴いていたかったのだけれども、最後に大好きな「パラレル」が始まったら足が自然に立っちゃってた。良かったな、パラレル。それから大編成バンドはやはり新しめの曲に良く合っているような気がした。発表時期で言うと「流星」という曲辺りよりも新しい曲。特に、こういうバンドで兎に角「流星」を演りたかったんじゃないの?拓郎は。って思ったくらいそれはハマっていた。それを聴いた瞬間から僕の中ではバンド名=流星バンドとなっていたさ。「吉田拓郎と流星バンド」(笑)。
知らない曲が少しあったのもブランクのせいか。そういう曲はとても良かったよ。坂の途中の花の店がどーとかいう曲とか。新しいアルバムは買ってみようかという気になった。
ただね、僕の好みのバンドと違うとか何とか勝手な事を言うには言ってみたけれども、何が何でも自分がやってみたい事をひとつひとつ実現させて行くパワーはやっぱりすげーな。何曲かとても気に入った曲と、クリエイティブな面でのパワー、そういう土産を貰ったんだから概ね良かったんだと思う。うん。
今回こういう機会を回してくれた友だちにも感謝。

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